カナダ東部随一の、豊かでスケールの大きな自然が広がるオンタリオ州。カヌーや乗馬、ハイキングなど、楽しめるアウトドアもじつに多様。女優の安竜うららさんが、自然をめぐる1週間の旅に出た。

今回は、次の目的地に向かう道中に立ち寄った、カナダでも有数のりんごの産地で「アップルパイ・トレイル」を体験したときの様子をお届けします。

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【Bake or Bike?】
先入観も恐れもなく、
ただ自然の中に“居る”こと

THE BLUE MOUNTAINS

マスコーカのコテージで過ごした夜、オンタリオのワインを味わうディナーを開いた。海外旅の経験があまりないうららさんも、身振り手振りを交えた英語でホリーさんと会話を楽しんでいる。仕事の話、旅の印象、プライベートのこと、いろいろ。

「私、自分で言うのもなんですが真面目過ぎるところがあって。今回の旅もガイドブックをたくさん買い込んで、猛烈に予習してきたんです(笑)。でもカヌーも乗馬も、自然の中では付け焼き刃の知識なんて通用しないんだなって。だから今日からは予習はなし。丸裸で自然の中に“居る”ことを楽しもうって」

「上手にしようなんて思うことはないの。自然の中では誰しもが仲間の助けを借りて学んでいく。そこから何を感じるかが一番大切なんだから」とゆっくり、理解できるまで何度も話すホリーさん。うららさんは「うん、うん」と何度も頷いていた。

ブルーマウンテンズ周辺で人気の「アップルパイトレイル」は、地図を片手にりんごにまつわる店やスポットを回る楽しい企画。りんご農家のゴールドスミス・オーチャードにはりんごを使ったお菓子やジャムを販売するファームショップも。

翌日、次の目的地、ブルーマウンテンズに向かう道中、小さな街・ソーンベリーに立ち寄ることにした。カナダでも有数のりんごの産地で、街を挙げて「アップルパイ・トレイル」という取り組みをしているのだとか。

自然の中を歩くトレイルではなくて、りんごのお酒を作る醸造所やアップルパイが名物のカフェ、りんご農家など、りんごにまつわるスポットを繋いで街歩きをするというもので、「食いしん坊な“トレイル”もいいでしょ?」とホリーさんはウインク。女子旅はこうじゃなくっちゃ!

ソーンベリー・ベーカリー・カフェのアップルパイ教室で教えてもらい作ったパイ。正式なアップルパイは表面に格子模様がないと教わって、一同驚愕。
パイのほかにも素朴なケーキが並ぶ。イートインも可。
毎日大量のパイを作るため専用の皮むき器を使う。これが面白い。
パイに使うのはレッドプリンスという大きなりんご。果汁が多く、サクサクとした食感。

うららさんが一番いきいきとしたのが、街いちばんのアップルパイを作るというソーンベリー・ベーカリー・カフェでのアップルパイ作り教室。ラジオ番組で街のお店を訪れ取材する仕事を長く続けている彼女らしく、パイ作りの間、手を動かしながら先生のトリッシュさんの暮らしやこの街に移り住んだわけなどを聞いていた。

パイ作りを教えてくれたトリッシュさんは家族でトロントからソーンベリーに移住した方。この街の魅力も教えてくれた。
ソーンベリーのギャラリーにはりんごをテーマにしたアート作品もたくさん。

「仕事を通じて、誰かの生き方を聞く、知るということがこんなに面白くて、それが自分の人生をも豊かにしてくれるんだってことに気づいたんです。東京で忙しくしていると自分のことで手いっぱいになったり、勝手な先入観で人や物事を見てしまいがちですけど、実際に会って、誰かの話を聞くと、それが解けていくというか。とくにこんなふうに外国で暮らす人の話を聞けるのは、すごく刺激的だし、世界が広がります」

トレイルの途中で見つけた「アップル顔はめ」(笑)。

見るものも、聴くものも、食べるものも、全部がはじめての旅。昨晩言っていたとおり、“丸裸”になった彼女は、そのすべてを目一杯吸収することを楽しみ始めたみたい。

小さな街を散策するにはレンタル自転車がいい。
ソーンベリーヴィレッジ・クラフトサイダー&ビールでは手作りのシードルをお土産に。

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PROFILE

安竜うらら Urara Aryu
女優、モデル。福島県いわき市生まれ。テレビ、映画、舞台などで活躍する傍ら、ラジオパーソナリティとしても活動。TOKYO FM「シンクロのシティ」レギュラー出演を8年務める。10月25日公開の松尾スズキ監督作品『108~海馬五郎の復讐と冒険~』に出演。

       

●情報は、FRaU2019年10月号発売時点のものです。
※記事内の通貨表記(CAD)は、1CAD=約79.47円(2019年8月15日現在)です。
※紹介している店や施設の営業時間、定休日、価格などは取材時から変更している可能性があります。

Photographer:Kasane Nogawa Text & Edit:Yuriko Kobayashi Model:Urara Aryu Coordination:Sumi Sato Cooperation:Ontario Outdoor Adventures