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# 読書

読書習慣のある人ほど「深いコミュニケーション」ができるワケ

「文脈理解力」を身につけよう
読むのが遅い、内容を忘れてしまう、何を読んだらいいかわからない……。そんな読書に関するお悩みを解決してくれるのが、著書『本は読んだらすぐアウトプットする!』を出版したばかりの教育学者、齋藤孝氏だ。さまざまな効用がある読書だが、齋藤氏によればコミュニケーションの上達にもつながるという。より深く、より楽しいコミュニケーションをするための「本の読み方」を教えてもらった。

「文脈理解力」を鍛えよう

読書で一番鍛えられる能力は、「文脈理解力」です。

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ちょっとあなたが本を読んでいるときのことを考えてみてください。文字を追いながら文脈をつかみ、咀嚼する、そのなかで著者が何を言いたいのかを理解しながら読み進みますよね?

たとえば、「いまはこういう状況だな」「この結論はこういう原因・経緯から導き出されたものだな」「この発言の背景には、こんな思いがあるんだな」といった具合に、常に頭を働かせていないと、本を読むことはできないのです。

つまり、あまり意識していないかもしれませんが、読書中は考えることの連続です。別の言い方をすると、「一つひとつの文脈を理解するまで、粘り強く思考し続けている」のです。200ページなり、300ページなりの本を1冊読破するまでの間中、脳がフル回転していると言っていいでしょう。

読書によって「思考の粘り」が鍛えられると、あなたは「文脈で考えられる人」になります。仕事でもプライベートでも、あらゆるコミュニケーションの場で、常に人の発言を文脈の流れのなかで理解し、あなた自身も文脈に沿って発言できるようになるのです。

 

こういう「文脈理解力」は、文字でしか鍛えることができません。言葉が途切れ途切れに連なる活字を読み続けることこそが、「思考の粘り」を鍛えることにつながるのです。

残念ながら、ユーチューブの面白映像をどれだけたくさん見たところで、「文脈理解力」は身につかないのです。

「文脈理解力」のない人は、その場その場でしかものを考えられません。文脈で考えられないために、状況が理解できない、空気が読めない、人の気持ちが想像できない、といったことが起こります。それでちぐはぐなコミュニケーションに陥ることが多いのです。

文脈を理解しないで話す人の話し方って、どこか唐突な感じがしませんか? たとえばみんなで盛り上がっている時に、まったく関係のない自分の話をぶちこんでくる、みたいな人。

こういう人を見ていると、幼稚なのか、社会性がないのか、頭が悪いのか……いずれにせよ周囲は「困った人だな。しゃべりづらいな」と感じるでしょう。

そんなふうでは社会人失格。本をたくさん読んで、「思考の粘り」と「文脈をつかむ力」を鍛えないことには、“戦力外通告”を受けないとも限りません。

いまからでも遅くはない。読書習慣を身につけましょう。