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# 倒産

「格安スマホ」で急成長したあのベンチャーは、なぜ倒産したのか?

新興企業を阻んだ「大手の壁」
格安スマホの製造・販売という独自戦略で大手寡占の市場に切り込み、急成長を遂げたベンチャー企業、プラスワン・マーケティング。格安スマホの火つけ役として、業界に新風を吹き込んだ有望株だったが……。著書『倒産の前兆』がある企業信用調査会社「帝国データバンク」が、なぜプラスワン・マーケティングが倒産に至ったのか、その舞台裏に迫る。

「格安スマホ」で急成長

携帯電話などの通信端末に挿入されているSIMカードには、持ち主が契約している大手通信会社(キャリア)や持ち主を特定する個別番号などが記録されている。

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日本の大手キャリアが販売している端末は、その会社でしか使えないSIMカードが挿入された「SIMロック」状態になっており、このロックがない端末をSIMフリー端末という。

SIMフリー端末ならば、通信費が高い大手キャリアに縛られず、自由に通信費がより安価な通信会社を選ぶことができる。そこに商機を見いだし、急成長を遂げたベンチャー企業がプラスワン・マーケティングだ。

プラスワン・マーケティングは、2012年10月に設立。大手電機メーカーが携帯事業から撤退する中、格安SIMフリー携帯端末の販売によってスマホ市場に風穴を開けるべく、2013年10月にオリジナルスマホブランド「freetel」を発売。設立からわずか数年で急成長を遂げた。

 

「freetel」は、スマホやタブレット端末を使った経験がない中高年や高齢者の顧客をも獲得し、販売数が急増した。この勢いは、端末販売にとどまらず、事業を拡大するにも十分だった。

2014年10月には仮想移動体通信事業(大手キャリアから通信回線を借り受けて、通信サービスを行なう事業)をスタート。翌11月に自社オリジナルのSIMカードによる通信サービス「フリモバ」を開始すると、ユーザーは爆発的に増えていく。

この波に乗って、2015年6月、自社ブランドを「FREETEL」に変更。販売先のヨドバシカメラからも出資を得て、フロアの一角に同社製品の専用コーナーが設けられるほどにまでなった。

さらに、格安スマホ需要は海外にも広がりを見せる。子会社を通じてカンボジア、チリ、ペルー、ベトナムなど海外向けの販売シェアを拡大。海外の大手通信キャリアとの業務提携を締結し、世界中で販売エリアを広げていった。