赤いおでこから「タンチョウ」と名付けられた品種

どうしてこんなにかわいいの? 日本人が「金魚」を愛して700年の理由

「異形の美しさ」と日本人の自然観

はじめて日本へやってきたのは…

夏の風物詩でもあり、日本人にとってなじみの深い金魚。水槽の中をゆらめくその姿は、忙しい現代人に涼と癒しを運んでくれる。この夏も、金魚にフォーカスしたイベントがいくつも開催されていた。なかでも令和元年の今年は、昭和や江戸など、その時代の懐かしい空気感を金魚に重ねて展示する傾向もある。

 

東京都墨田区「すみだ水族館」では、東京金魚ワンダーランド2019(~2019年10月31日)が開催中だ。昭和レトロな演出や夜の縁日を思わせるイベント装飾に加え、かつての金魚売りのリヤカーを用いた常設展示などがあり、金魚をいっそう風流に楽しめる。歩くと水面のように波紋が広がるインタラクティブな映像演出も取り入れられ、“レトロで新しい”金魚鑑賞体験に触れることができる。

「東京金魚ワンダーランド2019」会場のようす(すみだ水族館提供)

また金魚は古来より芸術作品のモチーフにされることも多い。現代美術界において金魚絵師として知られる深掘隆介氏の作品展も「まなびあテラス 東根市美術館」(〜10月20日)で催されている。容器に透明な樹脂を流し込み、樹脂表面が固まったらアクリル絵具で金魚の一部を描き、またその上に樹脂を流し込み、固まったら絵具で描く……という繊細な工程を繰り返して生み出される作品たち。今にも泳ぎ出しそうな金魚の姿は圧巻である。

そんな深堀氏の作品を表紙に描いた文庫本『金魚と日本人』(鈴木克美著)が今、静かな評判を呼んでいる。この本は、中世以降の日本の金魚文化を辿りながら、なぜ金魚が庶民の生活にこれほど浸透したのかを考察した一冊だ。

中国に起源をもつとされる金魚が、はじめて日本にもたらされたのは室町時代。「こがねうを」と称され、長崎や堺などからひそかに広がっていった。そして時代が進むにつれて庶民に伝わり、やがて江戸の町に金魚ブームが到来したという。

〈「金魚」という言葉や、金魚にあやかった風俗、見立て、名付けも、続々と登場するようになった。(中略)武家の若者や大尽の若衆のあいだに、後ろ髪の根を上げ、髷の先端を反り気味にした「金魚本多」と呼ばれた髪型が、大いに流行した〉

キャリコデメキン