日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ

北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…
佐藤 優 プロフィール

エリート教育が日本の急務

佐藤:だから今、日本は短期では大勝利なんですね。でも中長期的には、かなりの試練が待っていて、われわれは譲歩を迫られる。こういう二重の構造ですね。これは新聞を読んでいてもなかなか見えないですが、重要なところです。

邦丸:見誤らないように。

佐藤:そういうことです。それからあともう一つ重要なのは、韓国がこれだけ国力をつけてきたでしょ。韓国にはさまざまな問題があるんですが、それはやはり「教育」ですよ。

金惠京(キムヘギョン)さんの話を聞いても、彼女の『涙と花札』を読んでもわかるように、日本の子どもたちも一生懸命勉強しますけども、韓国の子どもたちはその比じゃないですよね。企業に入ってから、官庁に入ってからの競争も比べ物にならない。

経済もそうですよね。財閥を伸ばす。それでパイを広げていく。格差が広がっても構わないんだ、というやり方だと伸びるんですよ。このままだと、一人当たりのGDPで韓国に日本は抜かれる可能性すらある。向こうは人口が半分ですからね。

 

そういうことを考えると、韓国との関係でも中国との関係でも、これからわれわれが軽く見られないようにするためには、教育の強化なんですよ。基礎体力を強化して、今の若い人たちに頑張ってもらって、20年後ぐらいに再び中国や韓国を引き離すことができる基礎体力をどれだけ作れるか。だから私は、中長期的な戦略がすごく重要になってくると思います。

邦丸:昨日(政治アナリストの)伊藤惇夫さんも、これからの日本の将来を見据えたときに、いわゆるエリート層を養成するような学校とか組織とか体制が必要になってくるんじゃないか、と言っていました。

佐藤:金持ちを引きずりおろしても、みんなが金持ちになるわけではない。でも、エリート層が北方領土に行って酔っ払って暴れているようじゃ困るわけです。

成績がいいだけのエリートではなくて、ノブレスオブリージュ、すなわちノーブルな者、高貴な者、社会的な責任をまっとうするエリートを育てる。自分がおカネを稼いだら、そのおカネは社会に還元する。自分の能力をきちんと社会と国家のために還元する、そういう人をつくるエリート教育です。

日本は、学力のエリート教育は十分できています。むしろ問題は、ものの見方や考え方、価値観のエリート教育がないところですよね。