日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ

北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…
佐藤 優 プロフィール

佐藤:アンタイドで一般競争入札をするんじゃなくて、プロジェクトを決めて日本の企業をつけていく、こういう感じになるんじゃないかと思う。そうするとある意味、これは国内の産業振興政策とあまり変わらないですよね。

邦丸:なるほどね。

佐藤:だから、大きなおカネをつくっても、日本企業は儲かるし、日本から技術指導ができますから雇用の創出にもなる。今、そういった大義名分をかざす形で公共事業におカネを出せないですからね。対北朝鮮公共事業という大きい公共事業ができると思うんです。

邦丸:なるほど。

 

日韓関係は「仕切り直し」になる

佐藤:しかし、そうすると韓国としては「オレたち、ちょっと安い値段で日本と話つけちゃったんじゃないの?」と、こういう感じになる。そうすると、全体を包括したところで、もう本当に最終的に不可逆的な合意を、新日韓基本条約に書き込んじゃえばいいわけですよね。そこで日韓関係を全部仕切り直すことになる。

邦丸:一回リセットしましょうと。

佐藤:しかし、そのときのリセットにおいて、日本はかなり譲歩することになりますよ。理由は簡単。外交の世界というのは、力と力の均衡なんです。

かつて1人当たりのGDPで韓国が日本の7分の1だったときは、人口を考えると十数倍離れているわけです。それが今は2・5倍くらいまで追いついてきている。そういう状況で、やはり昔のままにはできないですよね。だから日本は、中長期的には韓国に対して譲歩しなければならない、こういう状況に置かれちゃっているんですよ。

邦丸:ということは徴用工問題も、それから慰安婦問題にしても、もう一度歴史的な見直しを一緒にやらないか、ということになっていくんですか。

佐藤:そういう方向に追い込まれる可能性は十分あります。国際的な圧力もかかってきますから。特に、米朝関係が改善することによって、中国が韓国の後ろ盾になって中国・北朝鮮・韓国の三ヵ国連合になってきますからね。

邦丸:でも、そこはアメリカとしてもなんとかクサビを打ちたいところですよね。

佐藤:クサビを打ちたいと思っても、中国の国力が大きくなっているでしょ。アメリカは、貿易とかアメリカ自身のやっている問題で中国と対峙するのが精いっぱい。日韓の歴史認識問題なんて関与する余裕がないし、しかも第二次世界大戦の歴史認識ということになると、アメリカと中国と韓国と北朝鮮は同じ陣営ですから、日本にとってぜんぜん調子よくない。

邦丸:うーむ。