日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ

北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…
佐藤 優 プロフィール

ただし、あのときに韓国の軍が発射を発表するよりも、日本が発表するほうが確か26分早かった。韓国は今まで、中長距離ミサイルに関しては日本のイージス艦の能力が高いから頼るけども、短距離ミサイルなら韓国が絶対に強い。最近は北朝鮮も短距離しか撃たないから、GSOMIAを破棄したら日本が困るんだ……と、こういうふうに思っていたわけですね。でも、その思惑が外れた。

邦丸:ふむ。

佐藤:26分の時間差というのは、たとえば学力でいうと、小学校高学年と大学生の差ですよ。日本と韓国のミサイルを察知する能力というのは、これは大人と子どもの差だということがはっきりしちゃったんです。

邦丸:どっちが大人なんですか。

佐藤:もちろん、日本です。

邦丸:日本のほうがミサイルを探知する技術においては大学生並み、韓国はまだ小学生並み。

佐藤:そう。それぐらいです。

 

韓国に国力で追いつかれると…

邦丸:ただ、こういうことをなるべく内緒にしておこうね、というのが今までだったんじゃないですか。

佐藤:もう信頼関係が崩れちゃっているから、この条約自体がもう機能していなかったんです。となると、どっちが先に撃つか──こういうゲームになっていたんですね。

日本はそこのところで韓国に撃たせる方向で、アメリカに向けてアピールしたわけですよ。韓国や日本の国内向けではなくて。アメリカもそれに乘ってきて、「韓国けしからん」となった。だから今回は日本外交の勝利というか、大勝利で、短期的にはうまくいき過ぎているぐらいなんですね。

ただ中長期的には、やはりまずいんですよ。

というのは、1965年の日韓基本条約の締結時点で、韓国の1人当たりGDPは100ドル強ぐらいだったんです。日本はその7倍。2018年時点で韓国が3万1000ドル、日本が3万9000ドル。近づいてきている。

つまり韓国の要求は──徴用工問題も、韓国に国力がついてきたから、今の国力に合わせた形でもう一回仕切り直しをしろ、ということなんですね。しかも、日本はそれに応じざるを得なくなるんです。

邦丸:なぜ?

佐藤:日朝国交正常化がいずれ起きる。これはトランプさんが北朝鮮との関係を調整するでしょ。米朝が国交正常化したら、日朝も国交正常化する。そうなると、日韓基本条約の改定問題が出てくるんです。