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日韓関係「今は日本の大勝利」でも「長期的には、かなりマズい」ワケ

北朝鮮と「国交正常化」後に待つのは…
※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2019年8月30日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです。
 

文在寅政権の間は、難しい

邦丸:日米韓で軍事の機密情報を共有しましょう、というGSOMIAの枠組みから、韓国は「一抜けた」ということになって、日本はもちろん、アメリカ政府高官が「非常に失望した」とか「無責任だ」とずいぶん非難している。それに今度は韓国側が非難の応酬をしている。

佐藤:韓国は自分から、どんどん袋小路に入っているわけですよね。ただ、ここで重要なのは、ちょっと想定外のことが韓国国内で出てきた。文在寅(ムンジェイン)大統領の側近の不正入試疑惑です。

邦丸:はいはい。

佐藤:日本においても不正入試は深刻ですが、韓国は桁違い。不正入試と兵役拒否は、韓国世論を刺激するんです。極端な形だと、これからデモとか起きてきて、対処方針をうまくとらないと文在寅政権が倒れるかもしれない。

邦丸:ふむ。

佐藤:内政的にそれぐらいの緊張をはらんでいます。ということは、文在寅政権はGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の問題で少しナショナリズムを煽って政権基盤を固めようとしていたわけですが、効果がなくなっているんですよ。すると、もう譲歩できない。

大統領がこういう状態だと外務大臣以下、外交当局はなんの妥協もできないので、機械的に自分たちのスタンスを繰り返すだけ……と、こういうふうになっていますよね。

ですから「文在寅政権の間は、日韓関係の改善はない」と日本は腹を括って、とにかく軍事的な衝突だけは起きないようにする。経済的にも関係がそうとう悪くなってきています。特に観光客は極端に減っていますよね。日本の地方経済をかなり疲弊させることになるけれども、韓国との付き合いにはそういうリスクがあるんだ、と思って付き合うしかないですね。

邦丸:そこでもう一つ、佐藤さんが指摘されているのが、韓国がこのGSOMIAを破棄することを決めたのが8月22日。日本政府に韓国政府が通告したのが翌23日。そしてさらに翌24日の朝、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射しました。まあ、北朝鮮はよく実験というか、テストをやっているし、アメリカとしても「ああ、あれは大陸間弾道ミサイルじゃないから大丈夫だよ」というふうにトランプさんが言っている。

佐藤:ただ、これは単なる弾道ミサイルじゃなくて誘導装置が付いているので、弾道計算ができない、けっこう面倒くさいやつかもしれません。

ミサイル発射のスケジュール自体は、北朝鮮は前々から決めていて、22日に韓国が決定したから24日にあわてて、ということじゃないと思います。