知られざるハローワークの機能「職業訓練」の利用法

実際に応募してみたら…
鷲尾 香一 プロフィール

「年齢の高い方は選ばれにくい」

係員が講座の説明をするのだが、その内容は割愛する。ただし、講座の受講中は失業保険が支給されるだけあって、例えば、「いかなる理由があっても、遅刻・欠席はできない」など、かなり厳しいルールが設けられている。

筆者は説明を行った係員に、「電車が遅延しても遅刻は認められないのか」と質問したところ、あっさりと「認められない」との回答があった。「親族が亡くなったなどの特別な理由以外は欠席も認めない」というルールの厳しさは、遅刻や欠席の数次第で失業保険の支給が停止されることにも表れている。

 

つまるところ、「失業保険をもらいながらタダで勉強できるのだから、勉強に専念しろ」ということなのだろう。

しかし、「よし、頑張って勉強するぞ」と決意を新たにした筆者の耳に、最後の最後で係員の衝撃的な言葉が聞こえてきた。

「皆さんに提出していただいた申込書をベースに、入学の希望理由などを参考にしてこれから選別が行われますが、入学を許可する方の選別を行うのは、当校ではありません。当校の場合には東京都の担当者です。ですから、どのような基準で選ばれるのかは説明できませんが、ある程度の傾向はあります。それは、年齢の高い方は選ばれにくいということです」

前述のように、応募者の中で60歳代は筆者1人。「こりゃあ選ばれないな」と思ったところ、約2週間後の通知では、案の定、選別に漏れていた。結果、筆者は失業保険を利用して「職業訓練」を受けることは叶わなかった。

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ところで、今回の職業訓練への申し込みを通じて、平素から筆者が疑問に思っていたことの一つが解明された。それは、「世の中には、専門学校と通信講座やカルチャースクールの中間のようなパソコンや医療事務などの教室があるが、どうやって生徒を集め、潰れずに経営しているのだろうか」というものだ。

こうした民間の教室こそがハローワークの職業訓練を支えている、逆に言えば、ハローワークと持ちつ持たれつの関係で経営を成り立たせているということだ。

さて、選抜に落ちた筆者は、他に職業訓練を受けられる方法はないかを尋ねにハローワークへ出向いた。その時に、「訓練を受けたい人が受けられないのであれば、何のための訓練制度なのか。希望者全員が平等に受けられるようにするべきではないか」と質問したところ、職員からは「本当にそうですね」の一言で片付けられてしまった。