# 中国

米中貿易戦争、香港デモの裏で「中国リスク」はここまで高まっている

習近平体制に時間的猶予はない
安達 誠司 プロフィール

中国経済の現状

このところ、中国問題といえば、もっぱら香港のデモが話題で、経済問題は二の次になっているようだ。「米中貿易戦争」についても、トランプ米大統領の慌てぶりばかりが報道され、中国の状況はあまり伝えられていない。

しかも、昨年と異なるのは、米中貿易戦争の激化が、米国経済、特に製造業に直接的な打撃となって跳ね返りつつある点だ。そのため、来年の大統領選でのトランプ大統領の再選を危ぶむ声も出始めており、米中貿易戦争での米中の立場は逆転したとの見方も台頭しつつある。

こうした中、中国経済は、ある意味、「蚊帳の外」のような状況だが、実態は相変わらず悪く、しかも、先行きに対してさらなる懸念材料も出てきたと考える。来年に大統領選挙を控えたトランプ大統領にも時間はなくなりつつあるが、習近平中国国家主席にも時間的猶予はない。

そこで、今回は中国経済の現状を考えてみたい。

 

図表1から図表4までは、中国の比較的信頼できる主要な経済指標をまとめたものである。これらの図表が示す中国経済の現状をまとめると以下のようになる。

1)製造業PMIは50を割り込んでおり、業況は相変わらず悪い。しかも、下向きのトレンドが継続している(図表1)。この「下向きトレンド」は、鉱工業生産指数も同様である(図表2)。

2)生産で注目されるのは、これまで生産を下支えしてきた鉄鋼の伸びがピークアウトしつつある点だ(図表2)。興味深いのは、7月になってからの中国が輸入する鉄鋼石のスポット価格が7月以降、大幅下落している点だ(ピークから約30%下落)(図表5)。

ちなみに4-6月期は前年比で+50%上昇していた。また、主要輸入先であるオーストラリアの鉄鋼石の輸出数量も減少傾向にある。このまま鉄鋼生産が減速していくと生産指数の伸びはますます減速していくことが懸念される。

3)輸出入金額ともに減少傾向を強めている(図表3)。このうち、輸出金額の減少は輸出物価の低下によるところが大きい。一方、輸入金額の減少は、中国の内需の弱さを示している可能性がある。

4)中国の生産者物価は前年比で0%まで低下している(図表4)。原材料の輸入物価の上昇率と比較すれば、中国企業のマージンは大きく低下していることが推測される。その結果、今後、生産調整が強まるおそれがある。

5)消費者物価では、食品以外の品目は緩やかに上昇率が減速している。一方、食品は急激に上昇している(図表4)。これは、米中貿易戦争の激化による米国からの輸入の減少の影響だと推測されるが、生活必需品である食料品の価格高騰は中国国民の生活を圧迫していると推測される。

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