小泉進次郎は「父ではない」…できちゃった婚の「意外なリスク」

小泉親子孫三代も直面する明治民法の壁
井戸 まさえ プロフィール

小泉純一郎氏は離婚後300日規定の典型例

一方、小泉進次郎議員の父純一郎氏は、報道によれば、進次郎氏の母である妻が第三子を妊娠中に離婚している。

生まれた三男は「離婚後300日以内に出産」しているため、離婚しても父欄には小泉純一郎氏の名前が入る。

もし、この規定がなければ、父親が小泉氏であることが明らかであっても、出産後速やかに父を確定し、養育費等も含めた扶養や相続の権利を得ることができなかったかもしれない。

まさに明治時代、民法が作られた当時の趣旨――夫が離婚した妻の子どもを自分の子どもと認めず、義務を放棄しないよう、母親と子どもを守る――が発揮された事例であろう。

ただ、この規定も「300日」は長すぎる。

そもそもこの規定ができた19世紀後半は血液型さえ発見されていない時代だ。妊娠期間も明確ではなかった。

現代医学では最終月経日から40週、懐胎していない2週間を含めて280日を基準とする。予定日に生まれても266日目で、早産ならもっと早くなる。

このため300日規定を適用すると、離婚して1ヵ月後に別の男性との間に受胎して子どもが生まれた場合、その子は前夫の子どもになるという奇妙な事態が発生し、社会問題となっている1万人以上とも言われる無戸籍児・無戸籍者を生み出しているのだ。

 

明治以来の民法改正の中身

こうして奇しくも政治家一家の小泉親子が経験することとなった民法772条の「嫡出推定」規定が今、見直されようとしている。

山下貴司法相は参議院選挙に入る前の2019年6月、民法のうち、「嫡出推定」と「監護権」の改正に関して法制審議会に諮問、これに先立ち昨年から開催されていた研究会の最終報告書をベースに今、改正議論が進んでいる。

その最終報告書の内容は、婚姻後200日規定については、妊娠をきっかけに結婚する夫婦が増え、結婚後200日以内に生まれた子も出産時点で再婚していれば、「例外規定」として現夫の子とすべきだと提案している。ただし200日規定は残り、「空欄」での出生届も認められることになるような制度設計が検討されている。

一方で社会問題ともなっている「無戸籍問題」を生む主原因の離婚後300日規定については出生時に母親が元夫以外の男性と再婚していた場合などは、元夫の子とみなさないとしている。