この連載では、サステナブルライフにつながる日本の活動を紹介しています。今回は、豊かな暮らしを多角的に提供する「haluta(ハルタ)」にクローズアップ。持続可能な社会のためのヒントがたくさんありました。

どこにも負荷がかからない
みんなの幸せを追究したい

ハルタは、「本質を理解していれば、やりたいことをやればいい。個人活動をすることで、より多くの人とつながることができるし、違う視点も生まれる。一個人のポテンシャルが上がれば、企業としての力になる」と考えている。持続可能な世の中をつくるという目的を達成できるなら、共同組合のようなスタイルも想定しているそうだ。パン製造を担当している木村さんは、「木村製パン」としてのパンを焼くことで間口を広げながら、イベントに出店したりという個人活動もしている。

できるだけ心地よく、幸せに生きるために。北欧の引き継ぎ型社会を見習った、豊かな暮らしを。それがハルタの企業理念である。手がけている事業は、北欧のヴィンテージ家具の販売から、建築、パン製造、情報の発信、湯治スパ……と幅広い。そのすべてに共通するのが冒頭の企業理念であり、日常に幸せを見出すことこそが豊かさだと考えているのだ。

もとは飛行機製造工場だったというとにかく広い倉庫のようなショップ内に、家具がずらりと並んでいる。生地を選んだり、色を相談したりということも可能。

例えば人が暮らすうえで欠かせない住居について。スクラップ&ビルドが多い建築業界で、デンマークの「良いものを長く使う」「環境に配慮する」「持続可能な循環づくり」という考え方を取り入れている。それはつまり、住宅の質を上げ、引き継がれる価値があるものを作るということである。

ハルタの建築の柱となっているロックウール断熱材。リフォーム時に使うこともできる。

その柱となっているのは、ロックウール断熱材、熱交換換気システム、パネルヒーター。「天然石100%でできているロックウールは、リサイクルもできるし、最終的には土に還るサステナブルな素材なんです」と建築部門担当の北山太一さん。

加えて木枠サッシの三層ガラス窓にするだけで、室内を一年中ほぼ安定した温度に保てるのだ。室温調整の補助として設置するパネルヒーターは、エアコンよりシンプルな構造で、何十年と壊れない。そのほかの建材もなるべくメンテナンスしやすく、経年変化を楽しめる自然素材を選んでいる。

家具はまず状態を確認して、解体できるところは解体し、また何十年も使えるように手入れする。

日本では年数が経つと価値が下がってしまうため、この価値を保証できるようにと、なんと宅地建物取引業の免許もとった。家具も同様に、今あるものを大事に使い、引き継いでいくという考え方のもと、北欧の上質な家具を輸入し、丁寧にリペアして販売している。「ヨーロッパでは、自分でリペアする人も多いんですよ」と家具職人の渡部洋岳さん。

黒パンは現代人に不足しがちなミネラル分が多く、毎日食べても飽きない味わい。

生活を支える食の柱として、パンの製造も。デンマークの国民食である黒パンを中心に、カンパーニュや食パンなどを日本各地の飲食店や地元のスーパーマーケットに卸している。「デンマークのパンは、まさに質実剛健。パンに無駄な装飾はなし。素っ気ないけど、おいしい。形が悪いからロスなんてことはありえないんですよね。そのあり方が新鮮で、大事な部分がわかっているんだなと感じました」と担当の木村昌之さん。

コアなファンがいるほどパン業界で著名な木村さんは、パンをひたすら作り続けてきたなかで、目的や意義を見失ったことがあるそうだ。でも前の店を辞めてしばらく休んでいたとき、自分が食べたいパンを確認できたという。

「技術によった作りたいパンではなく、こんなときにこんなパンが食べたいという生活に根ざしたパンだったんです」。とはいえ、オーガニックの上質な素材を使い、ちゃんとおいしいけれど、日常的に買い続けられる価格にすることと、自分たちが無理なく生活していくことの両立について、常に考えているそうだ。

「食に関わる人は長時間労働になりがち。デンマークはどうやってクリアしているのか、そんなことも学びたい。心地よく、無理なく、どこにも負担がかからない生き方こそが持続可能ですから」

こういった考え方は、オーナーがデンマークと日本を行き来するなかで、感じた違和感が生かされている。理想とビジネスを両立させるのは難しい。「みんなで試行錯誤しながら、よりよい道を探っている最中」というところにも、真摯な姿勢がうかがえる。

ハルタ 上田
長野県上田市小泉821-1
☎︎ 0268-71-3005
営業時間:13 時〜17 時
定休日:不定休
www.haluta.jp


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​Photo:Koichi Tanoue、Takeshi Abe Text:Shiori Fujii