サステナブルライフにつながる日本の活動を紹介する連載の第5回目。今回は、自然の豊かさを体験するための場所として開場する「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」をご紹介します。持続可能な社会のためのヒントがたくさんありました。

自然が持つ多様な命の魅力を
身近に体験できる場所

クルックフィールズの取り組みには、ヴィジョンを共有するさまざまな人や団体が協力している。オーガニックなまちづくりを推進している木更津市もその一つ。また、環境と経済を両立させ、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する事業活動を展開してきた住友林業も協業。そして環境省の「つなげよう、支えよう森里川海」というプロジェクトと連携し、地域循環共生圏を具現化していく。さまざまな体験ツアーも企画しているそう。

千葉県木更津市にある9万坪という広い敷地には、農場、酪農場、養鶏場、ダイニング、ベーカリー、アート……とあらゆるものがある。サステナブルをテーマにしたファーム&パークとして、10月5日にオープンする予定のクルックフィールズだ。

ダイニングのシェフである森本桃世さんが作った、場内で採れた野菜を使った賄い。「ここの風景や、素材の背景をお皿にのせるのが料理人の仕事だと思っています」。また、近隣で獣害として駆除されたイノシシやシカを有効活用すべく、シャルキュトリーも作っている。

母体であるクルックは、生産者の顔が見えるこだわりの食材を使ったレストランやカフェを運営してきた。事業の幅を広げる一方で、食を支える農業の実践の場として、2010年に「耕す」という農場を開場。これがクルックフィールズの始まり。「もとは牧場だった土地を開墾することから始めました」と農場長の伊藤雅史さん。

約10年かけて試行錯誤した結果、土の性質に合う作物を植えることにより、有機栽培で育て、年間を通じて安定供給できるようになった。畑では、場内の酪農や養鶏から出る糞を発酵させた堆肥も使っている。

水牛のほか、ブラウンスイス牛やヤギの放牧も。

動物もみな、健やかに育てられている。イタリアで修業した竹島英俊さんが飼育している水牛は、角を切られることもなく、穏やかに暮らしている。牛舎に隣接した工房で、その日に搾った牛乳から鮮度抜群のチーズを作る。また、広々とした鶏舎では、国産種を平飼い。鶏舎は発酵床になっているので、糞は微生物に分解され、常に清潔。自家配合の発酵飼料や畑で採れた野菜を食べ、ストレスなく育つため、お互いに傷つけ合う心配がない。

主に「岡崎おうはん」と「もみじ」という国産鶏種を育てている。

デビークというくちばしを切る処置が必要ないので、玄米までも嚙む力がある。すると消化するために腸が普通の養鶏の6倍と長くなり、きちんと栄養を吸収できる。健康な鶏たちの産む卵は、黄身が淡いレモンイエローで、臭みがない。この卵を使ったシフォンケーキを始め、採れたての野菜やチーズ、卵は、ダイニングで楽しむことができる。

パーマカルチャーを学びながら作った、場内のビオトープ。最近、一部の地域では絶滅危惧種に指定されているミズカマキリまで確認できた。

また場内の農業用施設の一部は太陽光発電のエネルギーで運営したり、施設から出る生活排水をバイオジオフィルターで浄化してビオトープに流したりと、エシカルであって無駄がない。これは、自然の豊かさを取り戻すために、人の手が必要な場合もあるということ。例えば、うっそうとした植林に囲まれた暗い池に人が適切に手を加えたら、野鳥がやってくるマザーポンドとなった。

この池の水を太陽光発電で汲み上げ、丘の上から流して小川とビオトープを作ったら、メダカやドジョウ、ゲンゴロウなどが生息するようになった。多様な生物がいることで、自然のバランスが保たれている。「人為と天為の共存が、私たちの目指している道です」とスタッフの新井洸真さん。ここでトライしていることはすべて、未来のためのサステナブルな営みなのだ。「じわじわと周りに影響していき、いずれ一般的になればいいですね」。きっと参加したくなる楽しい希望である。

クルックフィールズ
千葉県木更津市矢那2503
☎043-897-7401
営業時間:9時〜17時
定休日:祝日以外の火・水曜日
入場料:平日と荒天時は無料。
休日は中学生以上の大人が1000 円、4歳〜小学6年生が500 円(税込み)。

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Photo:Koichi Tanoue、Takeshi Abe Text:Shiori Fujii