“心の引きこもり”にならないで

どんな人も、「自分を守る」ために、“心の引きこもり”状態になったことがあると思います。全てが嫌になって、誰とも話したくない……あの気持ちは、今後も、いくらでもありうると思います。なので、追い詰められている人を、古い価値観や正論で「頑張りが足りない!」「逃げちゃダメ!」と責めないでほしいのです。

思えば4歳のころ、低視力で不器用だった私は、幼稚園の先生から「下手クソ!」等、言葉の暴力を受けていました。母に泣いて訴えても信じてもらえなかったのですが、吐くほど嫌がる私を見て母も観念し、1年後に転園して、その幼稚園から逃げました。

18年間勤めた会社でも、最後の数年は上司に疎まれ、人間としての尊厳を奪われたような気持ちになり、心身がズタボロでした。それでも、「辞めたら、自分の人生は終わりだ(=自分の価値がなくなる)」と自分に呪いをかけ、 自分自身を虐待していたのです。

死んでないから、大丈夫!

会社を辞めて、私はようやく、過去のすべてに感謝できるようになりました。もしタイムマシーンがあったら、過去の自分を抱きしめて、4歳の自分にも、40歳の自分にも、人生で落ち込んだどの自分にも、言ってあげたいです。「死んでないから、大丈夫! 生きてるんだから、何も失敗してないよ。死ぬほど辛ければ、逃げてもいいんだよ」と。

『逃げろ 生きろ 生きのびろ!』より

振り返れば、「自分を守るため」に、いろんな場所や、いろんな人から逃げてきました。でも、そもそも、人類は「逃げる」ことで、生き延びてきたのです。アフリカで生まれた人類が世界中に広がっていったのは、「今いる場所」が何かしら居心地が悪かったからです。「おいしいものが食べたい!」といった希望、「暑い(寒い)のが嫌だ」という不満、災害や人間関係の悩み……その時々の理由がなんであれ、生まれた場所が最高の居心地であれば、故郷から旅立つことはなかったでしょう。

「生き延びるために逃げる」というのは、言い方を変えれば、「理想の場所を求めて旅立つ」前向きな生き方なのです。