新幹線清掃スタッフ「7分間の奇跡」海外の賞賛を手放しに喜べない理由

過酷な労働条件と表裏一体
川辺 謙一 プロフィール

ミスを誘発する可能性も

ところで、最近は新幹線で「車両の整備」のミスが原因と考えられる輸送トラブルが起きている。

本年8月21日には、東北新幹線を時速280kmで走る列車のドア1箇所が突然開き、緊急停止するトラブルがあった。幸いにしてけが人などは発生しなかったが、もしデッキに人がいれば、転落事故が起きた可能性があった。

このトラブルの詳しい原因は調査中であるが、当日の報道によれば、仙台駅で車内清掃を実施したときに、ドアを手動で開けられる状態にする装置を整備スタッフが閉め忘れ、走行中に風圧で開いた可能性があるようだ。

 

また一昨年には、筆者が乗る東海道新幹線の下り列車が、新横浜駅付近で走行中に緊急停車したことがあった。車掌のアナウンスによれば、走行中に異常を検知したため、運転士が急ブレーキをかけて停車させ、車両を点検したところ、汚水の排水口カバーが開いていたとのこと。おそらく始発駅である東京駅で、整備スタッフが排水口カバーを閉じ忘れたのだろう。このトラブルは規模が小さかったためか、報道されなかった。

もし、今後新幹線でこのようなトラブルが増えることがあれば、JR各社はメディアに対してたんに「再発防止に努める」などとコメントするだけでなく、そのグループ企業に属する整備スタッフの「働き方」を根本から見直す必要があるのではないか。

労働環境の悪さだけでなく、整備スタッフの「頑張り」に過度に頼る構造が、ミスを誘発させる要因になり得るからだ。