心のどこかで「いつまでも生きていたい」と思っていませんか?

それが家族を苦しめるかもしれない
週刊現代 プロフィール

葬儀を行う際も、誰に連絡をすればいいのかまったくわからない。母が持っていた紙のアドレス帳を頼りに、手当たり次第に電話していった。

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「アドレス帳に母の大親友のAさんという方の連絡先が載っていませんでした。あまりに仲が良かったため、母はAさんの住所や電話番号をすべて暗記していたので、アドレス帳に書いていなかったようなんです。葬儀後にAさんから連絡が来て、彼女も絶句されていました。本当に申し訳ないことをしてしまったと思っています。

葬儀そのものについても、今も後ろめたい思いがあります。生前に母からどういった葬儀にしたいかという話をまったく聞いていなかったので、義姉と相談して家族葬のような形式の葬儀を選びましたが、『これで本当によかったのかな』と思い悩みました」

 

準備をしていないことで、残された人たちを悩ませたり、苦しめたりしてしまうこともあるのだ。

愛知県在住の板本隆一氏(57歳・仮名)は、3年前に一人暮らしの母を亡くした。心筋梗塞で病院に運び込まれたが、わずか2日後に亡くなってしまった。

「私の母はほとんど財産はなかったのですが、大変だったのはペットです。飼っていた小型犬3匹を残したまま逝ってしまった。母の葬儀などの手続きをしながら、犬の世話をして、同時に引き取り手を探すのはとても骨が折れました」(板本氏)

なかなか引き取り手は見つからず、とはいえ、母がわが子のように大切にしていたペットなので、保健所に連れて行くわけにもいかない。犬・猫の引き取りを行っているNPO法人にも問い合わせたが、シェルターが一杯などの理由で断られてしまった。板本氏が振り返る。

「結局、愛知県内にある『老犬ホーム』に引き取ってもらうことにしました。『終身預かりコース』で、一匹につき40万円ほど。この金額で普段のペットフード代から、最終的な埋葬費まで含まれていた。

3匹で計約120万円かかりました。小型犬で、もうお年寄りだったのでこのぐらいの額ですみました。大型犬や若い犬の場合、1匹で100万円近くかかることもあるようで、ゾッとしたのを覚えています」

不慮の事故や病気など、誰でもいつ、何が起きるかわからない。自分がいまこの瞬間、この世を去ったら、何が起きるか。それを一度じっくり考えてみるのが、きれいなお別れへの第一歩なのだろう。

『週刊現代』2019年9月7日号より
 

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