心のどこかで「いつまでも生きていたい」と思っていませんか?

それが家族を苦しめるかもしれない
週刊現代 プロフィール

「息子からは、家にある衣服や書籍などを少しずつ処分したほうがいいんじゃないかと言われたこともありました。いま思い返せば、息子は私が亡くなった後のことを、その頃から心配してくれていたんだと思います。

しかし、私は一切取り合わなかった。それで、息子は私を説得することは諦め、実家を売却して、すべての整理や処分をしようとしているのだと思います。いま通院の際の車の運転など、息子には生活の面倒をいろいろと見てもらっています。いつ『もう世話をするのは限界だから、施設に入ってくれないか』と切り出されるか、ビクビクしているのです」(岡本氏)

 

今年3月、明治安田総合研究所が、認知症と診断されていない親がいる55~69歳の男女1437名に対し、親の預貯金などの財産管理や管理の支援をしているかを調査した。結果、約77・5%の人が「していない」と回答した。

親の財産について、子どもからは聞きづらい。本来、親から子にきちんと説明しなくてはならないのに、8割近くの人がそれを怠っているのだ。

結果、80歳を過ぎても5年後、10年後の生活のために投資に手を出して失敗したりすることになる。家族からすれば、「いったい、何歳まで生きるつもりだ」という気持ちにもなる。

自分の最期について何も考えていないと、岡本氏のように、知らない間に家族や子どもから疎まれ、遠ざけられてしまう可能性は十分にある。

大切なのは、まず「いつ何が起きてもおかしくない」「自分の人生は自分でしまう」という心構えを持つことだ。

「僕が勧めたいのは、まずノートを用意し、延命治療をするかしないかを選ぶところから書き始めることです。そうすると、書いているうちに、じゃあお葬式はどうしよう、墓じまいをしてしまうのもいいか、そうだ財産はこうしてもらおうなど、考えるべきことがどんどん出てくるからです。

本人がきちんと考え、さらに書き残しておけば、家族はずいぶんと楽になるでしょう」(前出・鎌田氏)

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家族にも日々の生活がある。あなたに早く死んでほしいわけではなくても、いつまでも5年後、10年後の話をされては、「俺たちの生活の計算が立たないよ」と思われても仕方あるまい。

何の準備も整理もせず、死んでいくあなたに

長生きは、いいことばかりではない。経済面、健康面など考えなくてはならないことがどんどん増える。だからこそ、自分は長生きするだろうと楽観的に思い込んでいる人は非常に危険なのだ。日々、漫然と過ごし、自分の死後の準備や整理をまったくしないことで、残された人たちは大変な目に遭ってしまう。

『親を送る』の著者であるノンフィクションライターの井上理津子氏は、'08年5月、母親を事故で亡くしてしまう。銀行口座がいくつあるのか、実印はどこにあるのか、どんな保険に加入しているかなど、何も知らない状態だった。

銀行口座の暗証番号もわからず、兄と母の誕生日を入力してみたが、開かない。3回目に井上さん自身の誕生日を入れたところでようやく合っていたが、あやうく口座がロックされてしまうところだった。

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