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英国の暴挙「ハード・ブレグジット」が日本にとっても脅威になる理由

この国はもう「欧州の玄関口」ではない

「英国憲政史上、前代未聞の暴挙」

ハード・ブレグジット(合意無き離脱)」が現実味を帯びてきた。引き金は、ジョンソン英首相が8月28日、9月第2週から5週間程度の長期にわたり、英国議会を休会にすると決めたことである。現地では、この措置が英国と欧州の経済を混乱に陥れる誤った決断であるばかりか、イギリスの民主主義を破壊しかねない歴史的な暴挙だと強い批判の嵐を招いている。

翌8月29日、EU各国からは、英国に対し、改めて秩序ある離脱に向けた努力を求める声が相次いだ。また、8月30日には、現地に進出しているトヨタ自動車が、混乱を最小限に抑えるため英国での現地生産を一時停止すると発表した。

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英国がEUを離脱するだけでも混乱が避けられないのに、合意無き離脱が現実となれば、その混乱の大きさは計り知れない。混乱回避を呪文を唱えるかのように繰り返して呼び掛けたり、目先の対策を講じたりするだけでは、明らかに不十分と言わざるを得ない。

貿易パートナーとして、日本は英国とどう付き合っていくのか。日本人の間で半ばコンセンサスとなっている「欧州の玄関口は英国だ」という固定観念も含めて、今一度、真剣に検証する必要が生じているのではないだろうか。

イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズは8月29日付の電子版に、「英国の民主主義を汚す議会閉会」という見出しを付けた社説を掲載。保守的な同紙としては過激な論調を展開した。

 

ジョンソン英首相が打ち出した5週間という長期にわたる議会の休会措置は、「英国がEUから突如離脱する悲惨な展開を阻止できなくなるまで、議会を黙らせようとする許しがたい試み」であり、「英国憲政史上、前代未聞の暴挙」だと酷評。

そのうえで、与野党を問わず、英国の国会議員らに「今こそ、不信任投票でジョンソン政権を倒し、国民が意思を表明できる選挙への道を切り開くべきだ」と綴り、政権打倒を呼び掛けたのである。