2019.09.05

動物にやさしかった子どもが史上最悪の大量虐殺を実行するに至る経路

赤ん坊のヒトラーを殺しますか?
ジュリア ショウ

難民は毒ヘビなのか?

最近では、英国と米国で移民に関する辛辣な言葉が続けて聞かれた。二〇一五年、英国のタレント、ケイティー・ホプキンズがボートで到着する移民たちを「ゴキブリ」と呼んだことに対して、ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官は「ナチのメディアは支配者たちが排除したがる人たちをネズミやゴキブリと呼んだ」と公然と批判した。さらにそういう言葉は、「何十年間も抑えきれずに続いてきた外国人に対する侮辱、誤情報、誤認識」の典型的なものだともいっている。

同じように、二〇一七年四月二九日、大統領就任から一〇〇日目を迎えたドナルド・トランプ大統領は、スピーチの中である歌詞を朗読した。元々はオスカー・ブラウン・ジュニアが一九六三年に書いたヘビの歌の歌詞だ。

ある朝、女性は仕事へ行こうと、
湖に近い道を歩いていた。
心優しい女性が見つけたのは、凍えかけたかわいそうなヘビ。
きれいな色の皮は霜に覆われていた。
「なんてこと」彼女は泣き出した。「連れて帰って、世話をしましょう」
……
彼女はヘビを胸に抱くと、泣きながら「あなたはとても美しい」といった。
「私が連れてこなければ、あなたは今頃、死んでいたでしょう」
彼女はヘビの美しい皮を撫で、キスし、抱きしめた。
だが、そのヘビが彼女に与えたのは感謝の言葉ではなく、獰猛なひと噛みだった。

トランプはこの物語を難民の危険性を伝える寓話として利用している。難民をヘビになぞらえているのだ。

 

このように仮想敵を過度に単純化して分類することは、人を引きつけることもあり、政治の世界では繰り返しおこなわれている。指導者のわずかな後押しと、刺激的な誇張を加えれば、危険なイデオロギーはたやすく花開く。誰でもこの罠に陥ることがあるが、そんな毒のある比喩的表現に特に影響されやすい人たちもいる。

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