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「転んで死ぬことになった」60代以上の人たち…その悲しすぎる結末

60すぎたら、転んではいけない

平穏な日常が一瞬にして奪われ、みるみる衰弱。最期には無残な姿で死んでいく。転倒にはそんな恐ろしいリスクが潜んでいる。なぜ高齢者ほど転びやすく、そして最悪の結末を迎えてしまうのだろう。

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厚さ3cmの座布団で

「あれは自宅の居間で一緒にテレビを観ていたときでした。夕食を済ませゆっくりしているタイミングで、主人がトイレに立ち上がった。次の瞬間、自分の座っていた座布団に躓いて転んだんです。

座布団はもう何年も居間に敷きっぱなしで、すっかり潰れていた。厚さは3cmもありませんでした。普通に考えれば、躓くような高さではないんです。

主人は畳の上でドシン! と横転して半身を強打し、右脚の付け根を手で押さえていた。あまりに一瞬のことで、自分でもなにが起きたかわからない表情でした」

 

こう語るのは、2ヵ月前に夫・畠山和夫さん(享年68、仮名)を亡くした文子さん(67歳)だ。

和夫さんの直接の死因は誤嚥性肺炎。だが、そのきっかけになったのは、間違いなく1年前の自宅での転倒だった。

「転倒した直後、夫は脚の付け根を押さえながら『うぅぅ……』と呻き声をあげてうずくまりました。深刻な痛がり方だったので、すぐに救急車を呼んで自宅から近い総合病院へと向かったんです。

診察の結果は、転倒による大腿骨頸部骨折。太ももの付け根にある頸部という箇所が、転倒の衝撃でポッキリと折れていました。

医者は主人の容態を見て、すぐに手術の手続きに入りました。先生からは、折れた骨が完全にずれてしまっている、という説明を受けました。大腿骨の一部をごっそり取り出し、金属製の人工物に入れ替える『人工骨頭挿入術』という手術でした。まさか、あの一瞬の転倒事故がこんな大ごとになるとは思ってもいませんでした」

とはいえ、和夫さんの手術は無事成功し、3週間の入院を経て退院。それ以降は近所にある別のリハビリ病院で治療を受ける生活が始まった。