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ハード・ブレグジットは「当たり前」大陸欧州と英国の「水と油」関係

EUが経済的に行き詰まるのは必然

中国と日本と同じくらい違う

日本においては、英国は欧州の一部であるという認識が一般的である。もちろん、日本だけではなく、世界の一般的な認識もそうである。

確かに、地理的な位置関係から言えば、英国を欧州の一部とすることは自然だろう。しかし、歴史的、文化的観点から考えると、それが必ずしも正しいとは言えない。

例えば、英国と同じく巨大な大陸(中国)に対峙してきた日本という国を考えてみよう。

日本は、古代から巨大な大陸の国々(一般的には中国と総称されるが、欧州と同じように、モンゴルの植民地であった元をはじめとして色々な国々の興亡が繰り返し起こった)の文化の影響を受け、言葉は日本独自のものであるが、漢字という大陸と同じ文字を使用している。また、四文字熟語に代表されるように、中国語から大きな影響を受けている。

特筆すべきは、周辺のアジア諸国が中国という巨大権力にただひれ伏していたのに対し、日本は例え強がりではあっても、有名な「日いづる国から日の沈む国」という書状を中国に対して送ったことである。

日本は、外来文化をすぐに取り入れて自国の文化と同化させることによって、逆に独自の文化を強化してきたが、同じく海で大陸と隔てられた島国である英国も、大陸欧州の文化を受け入れ同化することによって、固有の文化を維持してきたのだ。

 

象徴的なのは、大陸欧州、特に西ヨーロッパの多くの国々がローマの植民地にされた時も、英国はその侵入を一部で食い止め、最終的にはローマ人を追い返したことである。これは、日本人が元や高麗の軍勢を追い返した「元寇」に匹敵する快挙といえるかもしれない。

日本も、アジアで欧米の植民地にされなかったほぼ唯一の主要国(戦後のGHQによる占領は、ここで述べる植民地化では無い)であることを考えると、非常に興味深い事実である。

また、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ルーマニアなどの言語はすべてラテン語(古代ローマの言葉)をルーツとするロマンス語の1つである(それぞれが方言といえる)。

しかし英語は同じアルファベットを使い、ラテン語から拝借した言語が多数あるものの、ロマンス語では無い。あくまで、ロマンス語も含むインド・ヨーロッパ語族という広い分類の中の1つにしか過ぎない。

その他、大陸欧州と英国が相当違った文化・歴史を背負っている実例には事欠かないが、大事なのは、英国と欧州を1つの文化圏として論じるのは、日本・韓国・北朝鮮・共産主義中国などを1つの東アジア文化圏として論じるのと同じだということである。

日本人にしたら、「彼らと一緒にするなんてとんでもない!」というところだが、欧米のジャーナリズム、識者と呼ばれる人々の日本や東アジアに対する認識などその程度のものである。

そして、一般的な日本の欧州に対する認識も、残念ながら「その程度」であるのが現状である。

ちなみに、日本の官僚組織・法律は概ね大陸欧州を模範にしている。なぜかといえば、明治維新の頃には、米国は新興国でしかなかったし、英国の慣習法の積み上げであるコモンローは、外部の人間が真似するのが難しく、大陸欧州の成文法を模範とするしかなかったからだ。

実際、大日本帝国憲法はドイツが模範とされ、官僚制度はフランスのエリート主義が取り入れられた。

しかし、経済システムは英米の自由主義を取り入れ、特に第2次世界大戦後は英国の自由主義に基礎を置く、米国流の自由主義が日本の経済界を席巻した。