2019.09.05
# 週刊現代

東京の「住宅地」が激変!地価が爆上がりの「住むべき街」はここだ

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週刊現代 プロフィール
約肉の老舗「鶯谷園」(写真/ google ストリートビュー)

地元の子供たちが通う区立根岸小学校は明治7年に開校し、145年の歴史を持つ伝統校である。最近では珍しくなった学帽、制服の着用が義務付けられていて、作家の池波正太郎や有吉佐和子ら文化人も多く学んだ。

「昭和の爆笑王」と呼ばれ親しまれた落語家の初代・林家三平も同校の卒業生。鶯谷駅近くの根岸2丁目にあった林家三平邸は現在、博物館として開放されている。「子供の頃、三平師匠の噺をタダで聞いて笑っていた」と近所の住民は語る。

そんな下町がなぜ、いま注目を集めているのか。

 

この地で50年以上飲食店を営んできた舛田昭二さん(74歳)に話を聞いた。'17年におでん屋を改装し、現在は実娘の綾子さんとともに古民家カフェを経営している。

「この界隈は東京大空襲の際、爆弾の直撃を免れ、比較的被害の少なかった場所なんです。焼け残った土台に家を建て直してきたので、高い建物が少ない。だから見上げれば、どこからでも空が見えるんです。風通しもいいし、ギラギラしたネオンとは無縁で夜は静か。こういった環境を求めて、最近は若い人だけでなく、海外の人まで集まるようになってきました」

戦火を逃れたであろう木造建築が残る住宅街には、比較的新しい一戸建ても散見される。根岸4丁目近辺の坪単価は180万円と、この10年間で約12%上昇しているが、まだまだ都心に比べれば割安で、移り住んで来る若いファミリーも多いという。

娘の綾子さんが語る。

「日暮里や上野、浅草、蔵前など、子供とお出かけするのも、買い物もすべて自転車で15分圏内。そんな『小回りが利く』のも根岸のいいところですね」

実は都心へのアクセスもかなりいい。入谷から日比谷線に乗れば1本で銀座まで18分、鶯谷から有楽町は山手線で12分。こういった「地の利」の良さも人気の一つだ。

さらに根岸では古い建物を現代風に改装して、再利用する動きが広がっている。その象徴が昭和3年築の銭湯「快哉湯」だ(住所は下谷2丁目)。'16年に惜しまれつつ廃業したが、外観は残しつつ改装し、シェアオフィスとして生まれ変わった。

前出の昭二さんが語る。

「この辺は道路も狭いままで確かに不便なところもあるけれど、古い建物をうまく利用して、何かやってやろうという若者が増えてきた。そんな彼ら彼女らを応援したいと思っています。

下町といえば職人気質の人が多く、よそから来た人はとっつきにくいイメージがあるかもしれないけど、時代とともにだんだんと住民の気質も変わってきた。今のご時世、新しく入ってきた人と協力してやってかないと街が発展しないでしょう」

ノスタルジックな雰囲気を残しつつ、時代のニーズとともに臨機応変に対応していく。そんな懐の深さも根岸の魅力なのだろう。

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