死の直前に起きる「お迎え現象」「手鏡現象」は妄想か、本物なのか

何度も目の当たりにした人がいる
週刊現代 プロフィール

手のひらの線が薄くなる

大門氏によると、お迎え現象は死に向かう人やそれを看取った人が遭遇する「9つの体験」のうちの一つだという。

「9つの体験」とは、アメリカの心理学者レイモンド・ムーディ氏が、死から生還した150人に聞き取りを行い、その体験を分類したものだ。お迎え現象以外には、

・経験したことのないような心地よさを感じる
・部屋が歪んでいるように見える
・名状しがたい美しい音楽や声が聞こえる
・暗闇に引き込まれる
・明るい光が現れ、天に昇っていく
・神のような存在に会う
・幽体離脱をする
・過去の回想シーンが流れる(いわゆる走馬灯)

といった体験が挙げられている。

このうちの一つ、「名状しがたい美しい音楽や声が聞こえる」について、看護師で僧侶の玉置妙憂氏は、ある患者の不思議な体験を明かす。

「患者さんがウトウトしている時に、パイプオルガンのような荘厳な音が頭の中に流れてきたというのです。聞いたこともない調べで、あまりに気持ちよくて、その音に引っ張られてどこかに行ってしまいそうになったと。

でも、なんだか戻ってこれないような気がして慌てて戻ってきたんだ、と。この患者さんは1週間後に亡くなられました」

 

「9つの体験」には含まれていないが、もう一つ、死の前兆と言われるのが「手鏡現象」だ。

亡くなる直前、じっと手を鏡のように覗き込んでいる人がいることからそう呼ばれるもので、前出の奥野氏も「死を前に意識がもうろうとしている中で、何かを見出そうとするようにじーっと手のひらを見つめている人がいます」と証言する。

埼玉県の私立病院に勤める医師は、こんな目撃談を明かす。

「交通事故に遭って頭を強く打った40代半ばの男性患者さんの話です。入院後、少しずつ回復に向かっていたのですが、ある日、病室に様子を見に行くと、じっと手を見つめているんです。

どうしたんですか?と尋ねると、『先生、なんだか手がおかしい気がするんですよね。歪んで見えるというか、小さく見えるというか』と答えた。

手を覗くと、確かに少し血の気がないような気はするけれど、異常があるようには見えなかった。ところが、その半月後、容態が急変して、その男性が亡くなったんです」

なぜこのような現象が起こるのか。「手をじっくり観ると、その人の体と心の健康状態が分かる。死の間際にある人は、手のひらに現れる変化を感じ取っているのでは」と言うのは、14歳の時から手相を観てきた手相観のプロ・日笠雅水氏だ。

「緊張したら手に汗がにじんだり、不安があるときは手に力が入らなかったりと、皆さんが思っている以上に、手には体の状態や精神状態が色濃く現れます。

私たちが手相を観るときも、手のひらに入っている線だけではなく、手の色や形なども総合的に観ています。手を観ていると、その人の置かれた状況が垣間見えるものです」

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日笠氏によると、死が近づいている人の手のひらに特別な線が出てくる、というわけではないが、体が弱ってきた人の手は、全体的に柔らかくなってきて、線が細くなるといった変化が起こる。

実際、日笠氏が観てきた人の中にも、手のハリがだんだん弱くなってきて、その後しばらくして亡くなった人がいるという。

「死の間際にある人は、精神や肉体面で非常に不安な状況に追い込まれています。そんなとき、本能的に手をじっと見つめて、自分と向き合う。そして、手を心のよりどころにして、静かに死を悟っていくのではないでしょうか。

死期を悟った人が本能的に手をじっと見つめるのだとすれば、その人は手を見つめながら、いろんなことを回想しているのでしょう。死を察知した脳が、人生を振り返り、幸せな死を迎えるための時間を与えているのかもしれません」

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