市原悦子さん、渥美清さん…美しく逝くために著名人が備えていたこと

死に方は、生き方でもある
週刊現代 プロフィール

渥美清に学ぶ、死ぬまでの時間の使い方

「主人からは、遺言のように『葬儀は家族だけで済ませて、すべてが終わった後に発表するように』と言われておりましたので、そのようにいたしました」

8月9日、本誌記者にこう語ったのは、渥美清さん(享年68)の妻・田所正子さんである。

渥美さんといえば『男はつらいよ』シリーズで車寅次郎役を演じた国民的スターだ。
'96年8月4日、妻・正子さん、長男・健太郎さん、長女・幸恵さんの3人に見守られて、静かに息を引き取った。肺がんだった。

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妻の正子さんは言う。

「主人は生前から、仕事場と家庭を切り分けていました」

芝居仲間にもプライベートを明かさなかった渥美さんの晩年とはどのようなものだったのか。

実は渥美さんは26歳で結核を患っている。渥美さんの付き人を4年務めた舞台俳優の石井愃一氏が語る。

「渥美さんに風呂に呼ばれて、『悪いけど背中を洗ってくれるか』と頼まれたんです。そのときに、背中の肩甲骨の下あたりから胸のほうまで続く大きな傷跡を見せられました。『俺な、結核になって片肺がないんだよ』と」

 

渥美さんは「俺は結核の時にいろんな薬を飲んでいるから、いずれ薬でがんになるだろうよ」とも語っていたという。

その言葉通り、'91年に肝臓がんを宣告される。3年後にがんは肺にも転移した。肺が一つしかない渥美さんにとって、それは「死の宣告」にも等しいことだった。