市原悦子さん、渥美清さん…美しく逝くために著名人が備えていたこと

死に方は、生き方でもある
週刊現代 プロフィール

戦前の恩を返したかった

身内以外に自分の財産を渡すことで、思いを遂げようという人もいる。『遺贈寄付最期のお金の活かし方』などの著書がある、立教大学社会デザイン研究所研究員・星野哲氏が語る。

「私がお会いしたなかに、埼玉県の有料老人ホームに暮らす90代の林さんという女性がいらっしゃいました。

彼女は50代後半の時に難病にかかったことをきっかけに、自身の資産をどうするか考え始めたそうです。林さんには子どもはいなかったので、甥や姪だけでなく、お世話になった病院や母校に渡そうと決めたのです」

 

林さんは15歳の時に父親が亡くなったため、授業料が不要で、生活費ももらえる師範学校(戦前に存在した教員養成機関)に進学した。彼女は戦争を生き抜き、戦後は高校の教師として働いた。恩返しのために母校に寄付しようと考えたのである。

「林さんはいったんすべての財産を姪に遺贈し、その姪を遺言執行者に指定するという公正証書遺言書を作成しました。林さんが亡くなった後、その受け取った財産を他の甥などにも渡し、残りを母校や病院に寄付してもらうという内容です」(星野氏)

きちんと選択し、決断しておけば、お世話になった人や、恩を受けたまま心残りになっていた人たちに報いることができる。賢人たちの経験から、あなたに合った死後の準備をして欲しい。