市原悦子さん、渥美清さん…美しく逝くために著名人が備えていたこと

死に方は、生き方でもある
週刊現代 プロフィール

賢い人たちの選択と決断

「実家をどうするか、母と私はずっと心配していたんです。二人の兄は、やはり自分が育った家を手放すということに抵抗があったようですが、母とともに説得しました」

そう語るのは、女優のいとうまい子さん(55歳)だ。'16年に彼女は愛知県にある生まれ育った実家を売却した。

一口に「死の準備」といっても、それぞれの家族が置かれた環境は千差万別で、絶対の正解はない。しかし、それを踏まえたうえで、賢い選択を行った人は多い。

いとうさんも、その一人だ。いとうさんの家族は、元々は父、母、二人の兄の5人家族だった。父母も拠点を東京に移し、長らく実家は空き家状態になっていた。

 

'13年に父が亡くなった後、この実家のことが気がかりになった。名古屋駅から車で約20分、75坪の土地に建つ一軒家だった。

「母になにかあった場合、きょうだい3人で相続することになります。土地や建物だと均等に分けることは難しいですし、色々と面倒なことがふりかかってくると思いました。それが原因できょうだいの仲が悪くなるというのは避けたかったんです。

それだったら、きれいさっぱり無くしてしまい、おカネはすべて母に渡すという形でいいんじゃないかと思ったんです」(いとうさん)

つまり、実家をこの段階で処分するということだ。これは次の代に面倒を先送りしない決断でもある。

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'15年に空き家対策特別措置法が施行された。実家が『特定空家等』という指定を受けた場合、固定資産税が更地と同等の6倍に跳ね上がる可能性もあった。そのため、家族で話し合い、売却を決めた。いとうさんが話す。

「解体して土地を売ることにしたのですが、家の前の道が狭く、ブルドーザーが入れなかった。そのため、人力で解体するしかなく、800万円かかるなど予想外の事態も起きました。

それでも最終的に1400万円で売却できて、600万円の利益が出ました。結果的にやってよかったと思っています」