米軍のハワイ・カウアイ島にある「イージス・アショア」実験施設(米ミサイル防衛局公式サイトより))

イージス・アショア、地元の合意ナシで1399億円「前払い」の異様

ひどすぎる「既成事実化」の実態

防衛省は30日、来年度防衛費の概算要求を省議決定した。驚くのは、過去最高額の防衛費5兆3222億円を要求する中に、地元の合意がまったく得られていない地対空迎撃システム「イージス・アショア」の調達費が本年度に引き続き、含まれていることだ。

防衛省は「特定の配備地を前提とする経費は計上しない」と説明するが、秋田市の荒屋演習場と山口県萩市のむつみ演習場以外の候補地名はこれまで一切上がっておらず、まさに「特定の候補地を前提とする経費の計上」にほかならない。

米政府から「イージス・アショア」を買い込んで既成事実化を図り、両市への配備を迫る手口が透けて見える。

 

結論ありきの「候補地再調査」

概算要求に計上された「イージス・アショア」の調達経費は122億円。このうちミサイルの垂直発射装置(VLS)の購入に109億円を充てる。VLSは合計30基をまとめ買いするもので、イージス護衛艦分と「イージス・アショア」2ヵ所分が含まれる。

残り19億円は人材育成経費、調査費だ。調査費の大半は航空自衛隊の防空システム「自動警戒管制システム(JADGE)」と「イージス・アショア」を連結する費用に回される。

つまり、「イージス・アショア」はこれまで通りの2ヵ所で、自衛隊とのシステム連携も進めるという内容となっている。

問題は配備先である。

防衛省は28日、「イージス・アショア」の候補地が荒屋演習場、むつみ演習場以外にないか、民間業者に委託して調査すると発表した。

荒屋演習場を「適地」と断定した際の防衛省による調査は、職員が「グーグルアース」のデータを読み間違えたり、津波対策の必要があるにもかかわらず、「ない」と報告したりするミスが連続した。

もはや防衛省の再調査では住民から信用されないだろうから、部外の専門家に任せるというのだ。

防衛省(Photo by gettyimages)

業者に丸投げすること自体、当事者能力の欠如を認めたようなものだが、同日にあった秋田県と秋田市に対する説明会で、防衛省側は青森県と山形県で行う予定の調査について「予備的な位置づけ」と説明。すると、出席者から「荒屋演習場ありきではないか」と怒りの声があがった。

説明会後、「予備的とは何か」との報道陣の質問に、防衛省の山野徹審議官は「調査は公平に行うが、秋田、山口両県への配備が防衛上最も効率的との考えは変わらないということだ」と答えた。これでは「再調査はアリバイづくりに過ぎない」と告白したも同然だろう。

青森、山形での調査は6ヵ月半、山口での調査は2ヵ月としており、いずれも年度内に終わる。調査終了後、間髪を入れずに秋田市と萩市で説明会を開き、防衛省は「やはり秋田と萩が適地」との結論に誘導するのではないだろうか。