沖縄・南城市で〈料理 胃袋〉を営む関根麻子さんが、生まれ故郷でもある東京のあっちへふらり、こちらへふら〜り。ゆるゆるっと街歩きを楽しむ。浅草・浅草寺から懐かしの洋食店へ。盟友、野村友里さんの店にも立ち寄りますよ。
母の面影を求めて
ビーフシチューを探しに
3カ月に1回ぐらいは、イベントやワークショップで上京している関根さん。けれど、いつもトンボ返りなので、今回は仕事を入れず、その代わり、テーマを決めてきた。ひとつは、『MARK!』7月号で、沖縄の関根さんの店〈料理 胃袋〉を訪ねてくれた野村さんの店への返礼訪問(記事はこちら)。もうひとつは、懐かしの洋食店を訪ねること。レトロ洋食店をあちこち食べ歩く。洋食好きという関根さんの根っこにあるのは、お母さんが作ってくれたビーフシチューだ。
「私にとってのお袋の味は、お味噌汁でも肉じゃがでもなく、ビーフシチューなんです。子供の頃、よくリクエストして作ってもらいました。高度成長期、イーグルスがラジオから流れるキッチンで、4日ぐらいかけて作っていました。大人になって思い出しながら、工夫しながら作っても、母のビーフシチューは超えられず、いつの間にか自分では作らなくなりました」何かいい話。
お昼に向かった1軒目の洋食店は、観音裏にある〈グリルグランド〉。創業は昭和16(1941)年。名物のオムライスをいただく。現在は3代目が暖簾を守っている。
オムライスは薄焼きの卵で巻いてケチャップがかかった昔ながらのタイプと、3代目が考案した、ふわとろ卵にデミグラスソースがたっぷりかかった特製の2種がある。関根さん、3代目の特製オムライスをチョイス。ランチはサラダとスープ付きだ。幸せそうな笑顔である。