渋野日向子20歳、女子ゴルフ新ヒロイン「とっておきのイイ話」

実は妹さんもゴルフが上手い

パワフルなスイングに、ずっと見ていたくなる愛嬌たっぷりの笑顔。この20歳の天才ゴルファーは、いったいどんな風に育ってきたのだろうか。地元・岡山県で発掘した知られざる物語を紹介しよう。

「いつも笑顔」は母の教え

「家ではゴロゴロしながらスマホで音楽の動画を見たり、ゲームをやったり……。四六時中ゴルフのことを考えているタイプではありません。勉強は本当に嫌いで、本を読んでいるところは見たことがない(笑)。

周囲の人の誕生日を誰よりも覚えているし、我が子ながら『賢いな』と思う部分もあるんですけどねぇ」

こう語るのは、8月4日のゴルフ全英女子オープンで優勝を飾った渋野日向子(20歳)の父、悟(51歳)さんだ。

プロデビューわずか2年目にして、いきなり日本人女子として実に42年ぶりとなるメジャー大会制覇を果たしたことで、日本全国が「渋野フィーバー」に沸いた。

「彼女がすごいのは、なんと言っても思い切りの良さ。メジャー大会では、一流選手たちも慎重にクラブを選び、状況をじっくりと見てから構えに入ります。

ところが、渋野選手は他の選手が打つ前からどのクラブを使うか決めていて、自分の番が来るとすぐに構えてポーンと打ってしまう。あの舞台であそこまで物怖じしない選手はなかなかいません」(全英大会でラウンド解説を務めたプロゴルファーの村口史子氏)

村口氏が舌を巻くように、渋野の最大の武器は20歳とはとても思えぬほどタフな精神力だ。

渋野と同じ岡山県出身で、ジュニア時代から親交がある岡山商科大の中西麻奈選手が言う。

「日向子が渡英する前日にも一緒にラウンドしたのですが、緊張している様子はありませんでした。あの時、日向子が一番悩んでいたのはお昼ご飯を何にするか(笑)。

『冷麺もいいな。でも、冷やしタンタンメンもいいし……。あっ、でもエビチリも捨てがたい』って。結局、タンタンメンとエビチリをセットにしていた。『2つも頼んじゃったけど、たまにはいいよね』とニコニコしていました」

 

ラウンド中でも前後のインタビューでも、渋野は白い歯をのぞかせながら、愛嬌たっぷりの笑顔を崩さない。この「渋野スマイル」に、心を射抜かれた人も多いだろう。

「日向子」という名前は、「太陽に向かうひまわりのように明るく育ってほしい」という願いを込めて祖父がつけたもの。彼女のイメージにぴったりの名前だが、父・悟さんによれば決して根っからの陽気な性格というわけではなかったようだ。

「もともと、あの子は私に似て、あらゆる感情がはっきり顔に出てしまうタイプ。パターを外したら仏頂面で地面を叩いたり、不甲斐ないと泣き出しちゃったり。

見かねた母親が、『ブスっとしていると良くないよ、笑顔でいなさい』と、繰り返しアドバイスしたんです。それで、本人もだんだん笑顔を意識するようになった」

公務員として働く悟さんと体操教室の講師を務める母・伸子さんは学生時代、それぞれ円盤投げとやり投げの選手だった。悟さんは筑波大学時代に国体にも出場している。