沖縄・南城市で〈料理 胃袋〉を営む関根麻子さんが、生まれ故郷でもある東京のあっちへふらり、こちらへふら〜り。ゆるゆるっと街歩きを楽しむ。浅草・浅草寺から懐かしの洋食店へ。盟友、野村友里さんの店にも立ち寄りますよ。

食いしん坊全開の
東京散歩は浅草から始まった

「あっらららら〜」。小さく声があがる。ここは、浅草・浅草寺。沖縄は南城市にある〈料理 胃袋〉店主・関根麻子さんの東京探訪は、ちょっぴり「がっかり」で始まった。

浅草寺でおみくじを引いたら、何と「凶」。「浅草寺は日本で一番凶が出るらしい」と、〈グリルグランド〉のご主人。一度「凶」を引いて以来、浅草寺では二度とおみくじは引かないことにしたそう。

まずは運試しと引いたおみくじが、よりにもよって「凶」だったのである。「待ち人来たらず、願望叶いがたし、だって(笑)。ほんとに凶だぁ」「凶」を引いた人は、指定の場所におみくじを結ぶとよい、と書いてある。早速、結ぶ関根さん。

「これで、よし」たとえ凶が出たとしても、結んで帰れば運が開けるという。こうして、東京生まれの関根さんの「東京おのぼりさんツアー」はスタートした。さあて、このツアー、吉と出るか、はたまた……?

浅草寺雷門にかかる大提灯。観光客なら、絶対外せないスポットだ。/浅草寺 東京都台東区浅草2-3-1 ☎03-3842-0181

浅草寺の雷門にかかる大きな提灯の周辺には、写真を撮る人、人、人。日本人より外国人の数のほうが多そうだ。その人波をかき分けかき分け、仲見世商店街を進みながら、関根さん、「あっ」「おっ」と、店をのぞいていく。仲見世の一本西側の柳小路にも、いい店が潜んでいる。

扇子の老舗〈荒井文扇堂〉。柳小路と仲見世にある。/荒井文扇堂 雷門店 東京都台東区浅草1-20-2 ☎03-3841-0088

たとえば、著名な歌舞伎俳優にも馴染みが多い、扇子の老舗〈荒井文扇堂〉。お稽古用の舞扇に混じってある柿渋の扇子がいいなと眺めつつ、うちわにも惹かれ、おたふくの柄がいいか、ひょっとこもいいなと悩みつつ見つけた、“酔っ払ったカッパが朝顔市を見物している”というかわいい絵柄のうちわをゲット。

このうちわ、カクカクしているのだが、「江戸一文字型」という、江戸ならではの形であることを教わる。また、包丁やハサミなど品揃えが半端ない、渋~い刃物店〈かね惣〉で、花バサミをチェック。

浅草寺宝蔵門そばにある江戸趣味小玩具店〈助六〉。ミニチュア好きには天国だ。粋な遊び心としゃれっ気がきいた人形が揃う。

仲見世に戻って、江戸趣味小玩具の〈助六〉では、着物を着てそろばんを持つ、狸の人形「そろばん狸」が、火事よけのためのものであると聞いたり、張り子の犬が竹製のざるをかぶった「笊かぶり犬」が、「笑い」を表していると知ったり。そう、犬に竹かんむりをつけたら、ほら、「笑」と読めるではありませんか。

なるほど、なるほど……ってな寄り道をしながら、浅草寺のお詣りを無事に済ませ、関根さん、いよいよ本格的な「東京おのぼりさんツアー」に踏み出した。