母と同じ絶望まで、私が落ちていく

これは、その時になってわかったことですが、目の前で、大好きな人が絶望している時、どんな慰めの言葉なら届くと思いますか?

「負けないで」「頑張って」「そんなこと言わないで」とか。私も最初はそう言おうと思っていました。「神様は超えられない試練は与えられないから」って、そんな言葉を大切にしまっていたこともありました。でも母を見て、励ましなんて何一つ届かない、ってわかりました。

できることがあるとしたら、一緒に絶望する。ただ、それだけです。

母と同じ絶望まで、私が落ちていくしかない。だって、母をこんな目に合わせたのは、私だから。

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「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」

私が母に寄り添える、たった一つの返事でした。

「ママが死ぬより辛いのを、私はよく知ってる。だから死んでもいい」

母が顔を上げ、私を見ました。情けないことに、急に「やっぱり死んでほしくない!」と、私の心が叫びました。

「でも……もう少しだけ私に時間をちょうだい。私が、ママが生きてて良かった、って思えるようにする。私に任せて。2億パーセント、大丈夫!

そんなことを母に言いました。

後から母に聞くと、「誰もが、頑張れ! と言う中、まさか娘に死んでもいいよと言われるとは思わなくて、びっくりした。でも死んでもいいよと言われると、途端に心の緊張が解けて、生きたくなった」とのことでした。