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「醜いマウンティング」は何故なくならないのか? ある社会学者の考え

サムナーの「社会学」を読む

競争絶対主義の構造

1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年にソ連が解体された。

東西冷戦が終結するとともに弱肉強食の新自由主義原理が世界的規模で広がった。日本でも、伝統的な年功序列型賃金から成果主義に仕事のルールが変化しつつある。このような競争絶対主義の背後には、アメリカ特有の社会進化論があるが、この点について紹介されることは少ない。

アメリカ古典文庫18 社会進化論』は、今から44年前の1975年に上梓された論文集だが、現在を読み解く上で有益な作品だ。

この論文集に収録されている作品の中ではウィリアム・サムナー(1840~1910年)の「社会学」が特に重要だ。

サムナーは、ニュージャージーに生まれる。1863年イェール大学を卒業し、ヨーロッパに留学して神学を勉強し、一時、牧師となった。

1872年からはイェール大学の政治学、社会科学教授となり、ダーウィンの進化論、スペンサーの社会進化論に独自の解釈を加え、アメリカ型社会学の基礎を作った。その理論は「社会学」によくまとまっている。

 

サムナーによれば、情熱的な妄想や冒険的な愚行、あるいは戦争が社会の酵素として必要になる。

〈社会というものは、内部に酵素をもつ必要がある。情熱的な妄想や冒険的な愚行が、その目的に応えてくれるときもある。

近代世界においては、その酵素は、経済上の機会と贅沢の希望によって供給される。また別の時代には、その酵素はしばしば戦争によって供給されてきた。そのため、一部の社会哲学者たちは、人間世界の最良の成りゆきは平和と戦争が交互にくることだと主張してきた。

また一部の社会哲学者たちの論じるところによれば、実現しうる人類の唯一の統一は、武器による戦争や、慣習の闘争や、産業組織への適応性から生じてくる競争における、最適者の生存によって実現されるにちがいない、という〉