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# 倒産

創業300年を目前に破綻!ある老舗企業の「失敗の本質」とは?

「老舗体質」こそが諸悪の根源
鋳物製造業の老舗として、江戸の昔から平成まで業歴299年を誇った「吉年(よどし)」。江戸時代は鍋や農具、明治時代は工業用・産業用部品、昭和に入ってからは建築資材などの結合部品と、時代の変化に対応しながら着実に成長を遂げてきた。バブル期には売上がピークを迎えた同社だったが……。著書『倒産の前兆』がある企業信用調査会社「帝国データバンク」が、この老舗中の老舗を倒産に至らしめた原因をひもとく。

バブルを謳歌した「吉年」

今日、吉年が民事再生法の適用を申請するらしい」との一報が入ったのは、2017年7月14日の16時45分のことだった。

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その15分後、東証一部上場の共英製鋼が「株式会社吉年の民事再生への支援に関するお知らせ」をリリースした。

ホームページにあった記載によると、吉年は1718年(享保3年)に吉年与右衛門が鋳物108人衆のひとりであった人物から鋳物事業を受け継いで、鍋・釜・農具などの製造を開始したことが事業の始まりという。

街道沿いにある吉年元社長の自宅には「吉年邸のくすのき」と呼ばれる河内長野市の市指定文化財があり、昔は街道の目印とされていたそうだ。歴史に裏付けられた名家ぶりが見て取れる。

明治に入ると、吉年は鍋や農具から工業用部品・産業用部品へと事業をシフトさせ、さらに昭和になり、1944年1月には吉年可鋳鉄として法人改組する。

 

その後、1952年2月に可鍛鋳鉄製管継手(建築資材などの結合部品)の日本工業規格表示許認可を得ると、1969年に製造を開始。1974年にはヨドシマレーブルマレーシア有限公司を設立して、他社に先駆けて海外での生産を始めた。

こうして着々と業歴を積み重ねた結果、各種の鋼管製の結合部品を主力に、配管機材部品や自動車部品、産業機械部品などを自社工場や関係会社で製造。また、産業機材では建設機械部品や産業機械部品、建築金具、鉄道部品を製造するなど、鋳物技術を生かした製品ラインアップは多岐にわたった。

また、業界随一の老舗として、吉年には業界内で相応の知名度があった。そのアドバンテージを生かすかたちで、大手鉄鋼商社や産業機械、自動車メーカー等に販路を確立する。