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私が「人生のサバイバル力」を沖縄の高校生に伝えたかった理由

米中対立最前線の島で、佐藤優が語る
佐藤 優 プロフィール

しかし、19世紀から20世紀前半の古典的帝国主義国とは異なり、植民地を獲得しようとはしない。ただし、軍事、経済、科学技術などで、帝国主義国はできるだけ多くの国家を自らの影響圏に入れようとする。それだから古典的帝国主義と区別する意味で新帝国主義と呼んだ方がいい。

 

東アジアに関して、アメリカ、中国とともに日本とロシアも新帝国主義国として影響力の拡大に腐心している。沖縄は、日本の一部であるが、1879年の琉球処分(廃藩置県)によって、尚泰王が東京に連行され琉球王朝が廃されるまでは、独自の王国を持っていた。日本国家は沖縄人の同化に努めたが、それは成功しなかった。

沖縄人は、日本人とは異なる独自のアイデンティティーを今日なお維持している。日米中の3国が協調体制をとることが沖縄の利益に合致するのであるが、振り子が現実主義と国家主義に振れている現状で、かつて存在したこの協調は崩れている

米中衝突の最前線にある久米島

日本の陸地面積の0.6%を占めるに過ぎない沖縄県に在日米軍専用施設の70%がある。米中が武力衝突を起こすような事態になれば、沖縄がそれに巻き込まれる可能性が高い。

沖縄本島の西100キロメートルにある久米島には、自衛隊の巨大なレーダーサイトが存在する。日米軍事同盟によって、このレーダーサイトが得る情報(主に中国に関する)は、米軍と共有されている。従って、米中武力衝突が発生した場合、自衛隊と共に米軍の目であり耳である久米島が中国によって攻撃される可能性も十分あるのだ。

そのような潜在的リスクをはらんだ久米島だから、私は民族と国家についても、ていねいに説明した。民族や国家が持つ危険性を認識することで、平和に向けた動きを、草の根から少しでも強化していこうと考えたからだ。

こういったかなり難しいことを背景に考えているが、『人生のサバイバル力』は、高校生はもとより中学生でも理解できるようにわかりやすく記述した。