教育ジャーナリストのおおたとしまささんが上梓した最新刊『21世紀の「男の子」の親たちへ』(祥伝社)。開成・灘・麻布に始まり、栄光学園、海城、芝、修道、巣鴨、東大寺、桐朋、武蔵といった名門男子校の教師たち16人より聞いた様々なアドバイスを、おおたさんの経験を通して分析し、まとめた一冊だ。

本書より抜粋して紹介する「今」大切な男子教育。第1回は反抗期について、第2回は失敗の大切さについてお伝えした。第3回の最終回は親も学校もとまどいがちな「性教育」についてお伝えする。

第1回「開成・灘ら名門男子校教師の提言『くそばばあ』と言われたらこう答えよ」こちら
第2回「開成・灘ら名門校教師たちが警告『朝、親は子どもを起こしてはいけない』」はこちら

「勘違い性教育」は早期英才教育と同じ

2018年には世界中で「#Metoo」のムーブメントが盛り上がりました。ハリウッドの大物プロデューサーが、自分の立場を利用して女優たちに性的関係を強要していたことが明るみになったことが発端です。

日本でも官僚や政治家あるいは教員らによるセクハラ事件が頻繁に報道されています。被害女性の心中は想像するに余りあるものがありますし、そのような輩には、同じ男性として強い憤りを覚えます。一方で、「分別の付かない年頃でもあるまいし……」と嘆きたくなるような情けない気持ちも湧いてきます。

2018年4月28日には、財務官僚のセクハラを発端とするセクハラ・パワハラ被害を訴えるデモが新宿で開催され、多くの男女が集まった Photo by Getty Images

「子供たちにもっと具体的な性教育が必要」という声もこのところ大きくなっていますが、子供たちの前に、大人たちにこそ性教育が必要な状況だといえるのではないでしょうか。そもそも子供たちに性について本当に大事なことを語る資格のある大人が、どれだけいるというのでしょうか。

性教育とは、単に性行為の方法や避妊の方法を教えることではないはずです。なんでもオープンに話せばいいという問題でも、早ければいいというものでもありません。子供の発達には段階があり、発達とともに感受性が増します。そのときどきの感受性にあわせたコミュニケーションが必要です。発達段階を無視した性教育は、早期幼児教育と変わりません

たとえば「りんご」の色、形、重さ、手触り、香り、味、そもそもどんな木にどんな季節にどんなふうに実るものなのかなどの〝実感〟なしに「りんご」という言葉だけを覚えさせることは大人の自己満足にすぎませんよね。