ひっぱたくのは大人に自信がないから

子供が暴言を吐くときには、大人のリアクションを見ているわけです。「そんなこと言っちゃダメでしょ!」と言ったって、そんなことは子供だって最初からわかっています。それよりは、暴言を吐かれたときの手本を見せるべきではないかと私も思います。すなわち、暴言を吐かれても過剰に反応せず、涼しい顔をして自分を失わない大人の姿を見せることのほうが教育的な効果が大きいということです。

そんなことを言うと、「ひっぱたいてでも徹底的にしつけなきゃだめだ」と言うひともいそうではありますが……。

暴力や暴言で委縮させて従わせる必要があると思っている人は、まだ少なくない Photo by iStock

「うーん、それは結局同じ土俵に乗っちゃうってことでしょう」と葛西先生。

ひとは正しいことをやり抜く強さをもったひとに威厳を感じるものです。間違えたら素直に謝る、感謝の気持ちをもつ、思いやりを発揮するなどができるひとです。「子供になめられてはいけない」と、つい怒鳴ってしまったりするのは、大人自身に自信がないからにほかなりません。子供を恐れているからです。それでは、子供も不幸です。

東大寺学園の榊野数馬先生も「同じレベルに立つと喧嘩にしかならないじゃないですか、『言葉遣いくらいは気をつけよう』とか優しい感じで充分だと思いますので、余裕をもって接してもらえればと思うんですけどね」と笑います。

親の側にこそ「大人の器」が求められているのです。

「いわゆる中3とか高1の反抗期を迎える子が出てくると、自分の手元から離れていく、すごくさみしいってよく言わはるんで、それは親としても乗り越えなきゃあかんところで、そのさみしさを乗り越えてまた違う愛情みたいなものが出てくるっていう言い方を何度かしたことはあります」
 
子供の成長に合わせて、親も愛し方を変えなければならないということです。