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人生100年時代…医療が未だに「人生70年」に固執する理由

「死ねない時代」をどう生き抜くか

長生きによる「老化」リスク

「死ねない時代」

こう聞くと、ドキッとするでしょうか? しかし、これはまぎれもない事実です。

ここ10年ほどで、私たちの生命を取りまく環境に大きな変化が起きています。医療技術の進歩や生活環境の向上で、日本人の平均寿命は延びつづけています。社会の少子高齢化はますます進み、増えゆく高齢者を減りゆく現役世代が支える構図はしばらく変わらないでしょう。

 

そして私たちの人生が今後、70年、80年、90年と延びていくぶん、私たちは60歳を超えても仕事をつづけなければならない状況が生まれています。そんな「人生100年時代」突入が現実のものとなりつつあるいま、私たちは人生の後半についてもう少し真剣に思いをめぐらせる必要がありそうです。

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「自分はそんなに長生きしたくないから、関係ない」

一方でそんな声も聞こえてきそうです。ただ、人生100年時代は、そうかんたんに死をむかえられる時代ではなくなります。1960年代、日本人の平均寿命は70歳前後でした。当時は脳卒中や心筋梗塞のような、突然おそってくる「急性疾患」によって寿命を終える人が多くいました。健康に気をつかう人もそうでない人も、70歳前後で亡くなっていたのです。

ひるがえって、現在はどうでしょうか。2016年(平成28)の厚生労働省「簡易生命表」によると、日本人男性の平均寿命が80.98歳、女性が87.14歳となっています。心筋梗塞で亡くなった人が減ったことも、国立循環器研究センター病院のデータから明らかです。1978年~1989年まで急性心筋梗塞の院内死亡率は16.30%でしたが、2000年には4.90%にまで激減しています。

このように日本では多くの人が高度医療の恩恵にあずかるようになり、かつてのように急性疾患で亡くなる人は減りました。ただ、長生きできるようになったぶん、晩年を寝たきりや認知症になって過ごす人の数は年々増えています。