品格を疑う…中国人留学生の「反香港・愛国」パフォーマンスが激化中

フェラーリに中国国旗を取り付けて
古畑 康雄 プロフィール

真実をネットで伝えた男性

香港で何が起きているのか、中国のメディア報道は「独立派」「暴徒」などとレッテルを貼り、反感を募るだけで、彼らの真の主張や、なぜ今回のような問題が起きたかについて、伝えようとはしない。

彼らが真の要求が国内に知られてしまうと、実は同じような要求が国内からも上がることを心配しているのだろう。だがこうした状況を心配し、香港で何が起きているのか、デモ参加者がどのような主張をし、どのような生活を望んでいるのかを自らの目で見て、伝えたいという中国人も登場した。

 

陳秋実という34歳の北京の弁護士がその人だ。彼は8月17日、香港に入り「反送中」デモの現場に赴き、自ら撮影した動画をSNSで公開した。その翌日あたりから微信でも拡散し、筆者も入っているグループにも彼の動画が転載されるようになった。

陳氏はその目的について、今回の運動に関する香港と本土の報道は大きな違いがあり、「情報が混乱する中、双方の言い分を聞き、十分な情報を収集、比較することで、真相を理解できる」と語った。

19日には立て続けに動画を発表し、民主派と建制派(親中派)の活動やデモ参加者を取材、香港人の真の普通選挙への要求や、「和理非(平和、理性、非暴力)」などデモ参加者の主張を紹介した。香港のテレビの取材も受け「多くの中国の友人から、彼ら(香港デモ参加者)の幸運を祈り、すべての中国人が彼らを恨んだり罵ったりしているわけではない、と伝えてほしいと頼まれた」と述べたという。

ところが20日、北京の公安局、弁護士協会、弁護士事務所など各方面からの圧力がかかり、彼は1週間の予定を切り上げて北京に戻った。20日に公開した最後の動画で、彼は弁護士資格が取り上げられる心の準備もできているとして、次のように語った。

「今回香港に来た初心は、私がこの重大な歴史的時刻に、我々普通話(北京語)メディアが欠席すべきではないと考えたからだ。8月18日の100万人集会は、全世界の30~40のメディアが取材した。私はこの中に中国本土の記者がいると思ったが、それが難しいと分かり、そこで自ら報道したのだ。」

陳氏はデモだけでなく、香港市民の収入、住宅などの状況を調べ、彼らが中国のネットで言われるような「生活していけない能無し」ゆえに騒ぎを起こしたのか知ろうと思ったという。

そして弁護士として、「逃亡犯条例」や、警察の法執行が適切かについて、香港の政治的な枠組みを定めた「香港基本法」「中英連合声明」が貫徹されているかについても興味を抱いていたと述べている。