「中国がクシャミをすれば、欧州が風邪をひく」時代がはじまっている

一体どうなる、一帯一路の副作用
宿輪 純一 プロフィール

欧州との経済一体化

もう1つの柱、ユーラシアの中国経済圏への取り込みについて観察してみよう。

先の述べたように、中国は「一帯一路」の経済政策において、投資をその主たる戦略としてきた。

たとえば、アジア・アフリカで財政赤字が少ない国というのは、中国の援助(投資)が多い国であるといってよい。

エジプトもそういった国の1つであり、中国の援助で新首都を建設中で、カイロから遷都する。

とはいえ、中国はGDP第2位になったが、第3位の日本は最近まで資金援助していたしADB(アジア開発銀行)も同様であった。その点では実にしたたかであるともいうことができる。

中国は元々欧州、特にドイツや英国などに巨額の投資をしてきた。

最もイタリアには最近まで、中国投資は少なかった。だが、イタリアは自ら投資を求め、調印し「一帯一路」のグループに入った。

今年4月に北京で開催された「一帯一路」会議では、オーストリアやポルトガル、ロシア、シンガポールなどにイタリアを加え、首脳クラスが37カ国も参加した。

投資によって欧州経済で、これほど中国の影響が大きくなっている。

ドイツのメルケル首相の中国訪問は筆者が知る限り11回。一方、日本には5回しか訪問していない。

事態は実はさらに極まってきており、イタリアなどでは中国企業の進出が急で、自国の主要産業を保護しろという運動まで発生している。

 

中国経済悪化の欧州伝播

経済が一体化してくると、当然、お互いに影響を受ける。中国経済の悪化が欧州経済を悪化させる。悪化した欧州経済が、さらに中国経済を悪化させるというループが始まっている。

中国経済が悪化していくのに従って、欧州経済も悪化し、ECBも金利を下げ始めた。欧州の資金が信用あるドイツ国債に集まり、マイナス金利幅を懲罰的に拡大している。また、経済が弱って来ると、イタリアをはじめ、政治的なほころびが出始めている。英国のBrexitもその影響が出ているともいえる。

欧州経済は、もはや中国と一連托生になっているともいえる。

世界中にある、2つの諺「待てば海路(カイロ)の日よりあり」と「すべての道はローマに通ず」が、図らずも実現されているのである。

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