「中国がクシャミをすれば、欧州が風邪をひく」時代がはじまっている

一体どうなる、一帯一路の副作用
宿輪 純一 プロフィール

そもそも一帯一路とは?

「一帯一路」は2013年に習近平国家主席が提唱し、翌年、北京で開催された「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」にて、世界的に発表された。

中国における主体となる担当部署は違うものの、いわゆるアジアインフラ投資銀行(AIIB:Asian Infrastructure Investment Bank)も同様な狙いの下、創設されており、相反しないように運営されている。 

中国は元朝以来の歴史的背景もあり、欧州までのユーラシア大陸をその影響圏と考える傾向がある。今回の「一帯一路」には、実にそれが色濃く出ている。

「一帯」とは、歴史的な交易路である「シルクロード」にそって、中国西部、そして新疆ウイグル自治区から、中央アジア・欧州を結ぶ陸上のルートの経済圏である。

「一路」とは中国の沿岸から、東南アジア・インド・中東から地中海に抜けるルートの経済圏である。

この政策のポイントは2つあると筆者は考えている。原油の安定的獲得と、欧州との(さらにアフリカも)経済一体化である。 

 

原油が通ってくる道

中国は1960年ごろの大慶油田の開発により、原油輸出国になった。かつては日本も中国から輸入していた。

しかし、その後、油田の生産量は落ちた。さらに、国内経済の発展により石油の消費量も拡大し、足下、原油輸入大国になっている。

そしてその原油は海外から輸入するしかなくなっているおり、中国の場合、輸入元は中東である。

しかし、その輸送ルートとなる西太平洋・インド洋では、ホノルルに本拠を置く、米国第7艦隊の勢力が強く、これに制圧されている。

もっとも、米国はといえば、近年、シェールオイルの産出が拡大し、足下、原油の生産量はサウジアラビアを抜いて世界1位になっている。そして、原油輸出国になった。

ということは、米国はこれまでのように中東から原油を輸入する必要がなくなる。そしてそのことは中東防衛の意識が落ちるということになる。ゆえに、この点において、中国の「一路」の戦略がますます有効になってきているのである。
 
もっと言えば、より安定的に原油を輸送するためには、海運(タンカー)ではなく、パイプラインが有効である。

中東、中央アジアといったユーラシア有数の原油・天然ガス産生地域と中国をパイプラインでつなぐとすると、新疆ウイグル自治区からパキスタンを経由して中東に抜けるルートが最適となる。

そのパイプラインのエリアは政治的に「安定」していることが必須条件となる。昨今の新彊ウイグル自治区における中国の行動は、この視点から見るとよく理解できる。

関連記事

Pick Up

編集部からのお知らせ!

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/