性教育の重要性が語られて久しいが、今でも日本の中学校で、「身体の仕組みは伝えても妊娠や避妊の仕組みは一切教えてはならない」ところもあるのだという。

24歳の福田和子さんは、大学入学後にスウェーデンに留学した際、日本での女性の性に関する動きの遅さや性教育への意識の低さに驚愕、帰国して「#なんでないの」というプロジェクトを立ち上げた。

望まぬ妊娠をした女性のために、WHOで推奨され、多くの国で手に入りやすい緊急避妊薬ですら、日本はなかなか簡単には手に入らない。そんな現状を、留学前の福田さんも知らなかったし、日本国内に知らない女性たちがほとんどだった。そこで、事実を伝え、健全な性についての話もしてきた。しかし「タブーに切り込む、意識が高い人」と医師にまで言われたことがある。性を語ることはタブーなのだろうか?

公開中の映画『おしえて!ドクター・ルース』の主人公は、コロンビア大学を出たDr.でありセクソロジスト、つまり「性を語る人」だ。「性を語る人」の条件や地位が明らかにとても高い――それを体感している福田さんに、「性を語る」とはどういうことなのかをまとめてもらおう。

大学で教鞭をとる「ドクター・ルース」映画『おしえて!ドクター・ルース』より
スウェーデンに留学に行く前日に講演を行った福田さん 写真提供/福田和子

えっ、タブーじゃないの?
「セクソロジー」を知った衝撃

皆さんは、「セクソロジー(Sexology)」という言葉をご存知だろうか?

私がその言葉を最初に聞いたのは、3年前のちょうど今頃、交換留学で初めてスウェーデンの地に降り立ってすぐのことだった。

若い世代がより生きやすく、健康で幸せでいられる社会の実現のためには性教育やセクシュアルヘルスの向上が必要と感じていた私は、到着してすぐにスウェーデン性教育協会(通称RFSU)のボランティアに応募した。私のいた町のRFSUの代表の女の子は私より1歳下、当時20歳だった。面接のつもりがあっという間に意気投合し、出会った初日から、カフェが閉店しても尚、寒さで足の指の感覚を無くしながら外で夢中に話し続けたのを覚えている。そのとき彼女の口から出てきた彼女の夢、進みたい道、それが「セクソロジー」であり、「セクソロジスト」だった。

「セクソロジー」を知るきっかけとなったスウェーデン性教育協会のボランティアでは、コンドームやパンフレットの無料配布なども行った 写真提供/福田和子

「セクソロジー」とは日本語に訳すと「性科学」。「セクソロジスト」はいわばその専門家である「性科学者」を指す。彼らが扱うのは、セクシュアリティや性行為についてなど、性に関わること全般だ。私は初めてその言葉と意味を聞いた時、かなりの衝撃を受けた。なぜかといえば、ずっと日本で生まれ育ってきた私は、「性」に関することはタブーで当たり前、そこに科学や学問が存在するなんて思ってもみなかったからだ。

さらに驚くべきことに、彼女曰くスウェーデンでセクソロジストになるのは本当に大変で、まずは医師や助産師といった医療従事者、ソーシャルワーカー、もしくは臨床心理士のいずれかになっている必要があり、その上で、大学院等でセクソロジーを学んで初めてセクソロジストになれるというのだ。「セクソロジー」、交換留学のはじめに飛び込んできたその言葉は、それ以来私の頭から離れなかった。