ある繁華街の無料案内所で「魚の切り身」が大量に見つかったワケ

密漁と暴力団の深い関係
松岡 久蔵 プロフィール

わかっていても取り締まれない

地方漁業都市と密漁は、長年密接な関係にあったにもかかわらず、なぜ密漁品の対策はこれほど遅れているのか。自民党水産部会の重鎮議員はこう解説する。

「はっきり言うと、よほど大きな問題とならない限り、本気で摘発すると地元で票離れを引き起こす可能性があるから、という面が大きい。地方において漁業者は有力な組織票ですから、一律に『犯罪者』として扱ったり、正義感だけで切り込むのは、政治家としては利口とは言えません。

実際、安倍晋三首相が先ごろの参院選対策として、4月初めに全国の漁業者からなる全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長と会食して票固めを行ったことを見ても、彼らの集票力の重要性は明らかでしょう。少しずつ、罰則をきつくするなどの法改正を進めていくしか方法はありません」

 

ただ、昨今の漁業人口の減少が密漁品をめぐる事情を変えつつある。水産庁によると、2017年の漁業就業者は65歳以上が約4割。2009年以降、新規就業者は年間1900人前後にとどまっており、漁業人口の減少は避けられない。先の自民議員はこう続ける。

「かつては漁村にも人がいて、地元経済が回っていました。要するに余裕があったから密漁という不正も大目に見られてきたというわけです。

しかし、誠実な漁業者の収入が密漁品の横行で減っていけば、漁業の担い手不足にさらに拍車がかかってしまう。そうなってくると、地元自治体の弱体化につながりますから、政治の側としても本気で動かざるをえなくなります。最近、密漁の取締りがにわかに騒がれ始めたのも、こうした事情があるのです」

暴力団の資金源根絶や水産資源の管理を進める上でも、正規ルートで採れた魚介類の流通確保や、実効性ある密漁対策が求められるだろう。

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