ある繁華街の無料案内所で「魚の切り身」が大量に見つかったワケ

密漁と暴力団の深い関係
松岡 久蔵 プロフィール

密漁品が店で出される理由

筆者の記事「『黒いダイヤ』密漁ナマコ規制強化で、ヤミの資金源は断たれるか」(2018年11月28日)で報じたように、1992年の暴力団対策法施行以降、資金源が断たれていった暴力団は、高級食材のナマコなどの密漁に手を染めてきた。

2015年には、青森県で暴力団組員らによる被害総額約1億9000万円の摘発事例も発生している。ナマコは卸売市場を通さずに加工業者と直接取引されることが多く、密漁品を割安で買い取る業者への罰則も存在しなかったため、密漁・密輸の温床となってきた。

 

この記事の中では、東北地区選出の国会議員が「地元で『ナマコの密漁を根絶するには、買い手も叩く必要がある』と訴えたら、支援者の料理屋や業者は明らかに痛いところを突かれたようで、ギョッとしていた。密漁品を買っているな、と直感した」と語っている。

地方都市では密漁に業者など一般人も関係している実態があり、これが根絶を困難なものにしている。別の専門紙記者はこう話す。

「ナマコは乾燥したり加工しないと輸出できませんから、密輸するにも地元の加工業者とのつながりが必須です。地元の人間は怪しいことをすればすぐにバレるはずですが、そこはムラ社会。よほどでない限り、お互い恨みを買わないように黙認する事情も、密漁品がなくならない背景になっていると推察されます」

暴力団に限らず、プロの漁業者による密漁も一定数存在する。実際、根室の特産品の花咲ガニをはじめ、タコやアワビなど密漁で漁業者が摘発される事例は後を絶たない。

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水産庁によると、2016年の密漁の摘発件数は漁業者が330件、非漁業者が1276件となっている。非漁業者とは観光客や暴力団関係者などを指すが、2004年に初めて逆転するまでは漁業者が非漁業者を上回っていた。

水産庁関係者は、「2000年代初めから、水産庁が地元の警察などと協力して取締りを強化したため、非漁業者の密漁が表面化したことに加え、漁業人口が減少していることが漁業者の摘発件数減につながっている」と話す。

先のベテラン経済部記者は「漁業者による密漁は現金収入の足しにするなど、生活に根付いたものであることが多い」と指摘する。

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