図書館司書は「いらない仕事」?非正規・低賃金労働とパワハラの実態

「シャネルを着た司書」を諦めない
寺下 由美子 プロフィール

司書は予算削減の「いけにえ」?

会社と大学の関係は蜜月のようで、実のところ砂上の楼閣だと思う。

ある人材派遣会社は15年間もB大学図書館の業務委託を受けてきた。毎年の契約交渉はスムーズで、他社と見積もりを比較されることもない。しかし、そんな平和な関係も理事長の交代で呆気なく終わった。

新しく理事長に就任したのは某大企業の元社長で、メディアにもよく登場する有名人。この人の経営手法は徹底的な経費削減で、多少強引な手を使っても極限まで削る。多忙な理事長に代わって、その大企業から出向した社員が大学運営を任されていた。

 

年度末の3月上旬、理事長代理が「業務委託費を4割削減しろ」と会社に言ってきた。会社の営業は唖然とした。すでに2月の協議で金額は最終決定したはず。他社の見積もりと比較しても、一番安い金額だった。

理事長代理は図書館に一度も来たことがなく、司書の業務なんて何も知らない。ただ「理事長に評価されたい」という理由で、委託費4割削減という無茶な数字を打ち出した。

新年度スタートの1ヵ月前というタイミングは、会社の逃げ場を無くすため。さすがに会社の営業も「うちが撤退したら図書館は開館できない」と言ったが、それに対して理事長代理は「替わりはいくらでもいる。図書館の運営なんてどうにでもなる」と自信満々。彼らの強気の背景には、こんな理事長の言葉があった。

「司書は本当に7時間ずっと働いているのか?」
「人件費を削減しても図書館の質は落とすな」

会社は今更まるまる利益を失うわけにもいかない。新設される図書館の委託も狙っていたので、仕方なく削減に応じた。せめて業務の一部を大学に返そうとしたが、「大学職員も削減されているから、図書館業務まで負担できない」と拒否された。しかも大学は、理事長の就任式や出張を理由に協議を何度も先延ばしにした。

その影響を最も受けたのが、現場の司書たちだった。会社と大学の交渉が二転三転するせいで、3月下旬になっても労働契約書が貰えない。3月31日で雇用契約は終わる。転職活動をする間もなかった。

加えて、会社から「人手不足の別の大学図書館に異動してほしい。断るなら辞めてもらう」と、強引に異動を迫られた。会社と大学のあまりの身勝手さに、ついに司書たちもキレた。