図書館司書は「いらない仕事」?非正規・低賃金労働とパワハラの実態

「シャネルを着た司書」を諦めない
寺下 由美子 プロフィール

賞与はない、昇給もない

こうして会社が利益を上げる一方で、司書はどんな労働条件なのかというと――。

時給900円〜1200円、契約期間は半年か1年。交通費はなし、または上限付き。交通費が1日460円支給される図書館もあって、これは京都市バスの往復運賃と同じ。全額支給の図書館は少ない。

司書資格(国家資格)があっても、なくても時給は変わらない。土日出勤しても、22時まで働いても時給は上乗せされない。

賞与もない。昇給もない。会社は昇給できると言うが、実は時給1200円で雇うべき人をわざと時給1000円で採用して、「頑張り次第」を条件に毎年10円ずつ上げる仕組みになっている。まともな評価制度はない。

電車の大幅な遅延も認められず、遅れた分はきっちり天引き。シフト制なので休むことも許されない。病気や怪我で休んだら即無収入。ガンの手術で休む時さえ会社に嫌な顔をされる。命が危なくても。

以上が司書のリアルな働き方だ。でも苦しいのはこれだけじゃない。会社や大学からパワハラを受けた司書たちがいる。2018年に関西の大学図書館で実際にあった2つの話を紹介しよう。

 

「大学様」ファースト

司書にはいろんな仕事があるけれど、一番大変なのは情報検索の授業だ。教員から依頼を受けて、60分〜90分のゼミで学生に資料と情報の探し方を教える。準備は多いし、当日の負担も大きい。

司書Aさんの場合、さらに別の業務も兼任していたので、毎日残業するぐらい忙しかった。ある日突然、Aさんは委託先会社の営業3人に呼び出された。

「残業が多すぎる!」「要領が悪い!」「仕事のミスが多い!」「司書としてどうなの?」

密室で、3人がかりで次々と怒られたが、最後まで「辞めろ」とは言われなかった。会社が退職させたがっているのは明らかだった。Aさんは仕事が好きで辞めたくなかったけれど、ショックで体調を崩して退職した。

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なぜ会社はこんな事をしたのか。考えられる理由は、まず単純に残業代を払いたくなかったから。あとは大学のご機嫌取り。以前、Aさんの些細なミスに大学職員からクレームがあった。大学様(会社は大学をこう呼ぶ)のご機嫌を損ねたら、次年度の業務委託の契約が危うい。だったら末端の司書を切り捨てよう。