図書館司書は「いらない仕事」?非正規・低賃金労働とパワハラの実態

「シャネルを着た司書」を諦めない
寺下 由美子 プロフィール

大学図書館の司書の仕事とは

私が務めていた大学図書館は学生と教員のサポートをする施設で、司書の仕事は研究に使う資料や情報を入手して提供すること。取り扱う分野もさまざまで、私の場合は工学、法学、美術、歴史、経済、経営、外国語、心理、スポーツを担当してきた。

基本的に図書館に来る学生はみんな勉強熱心だ。でもテスト期間中になると、授業を休みがちな学生が藁にもすがる思いで駆け込んでくる。

私はそんな学生たちに「もうちょっと早く準備した方が楽やでー」と声をかけつつ、一緒に課題の本を探して、レポートの書き方もアドバイスする。パソコンやコピー機の使い方も教える。

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たまに驚くような質問もあるけれど「そんな簡単な事もわからんの?」なんて思わない。わからないことは恥ではないし、その後の勉強や仕事に必ず役立つから。これをきっかけに司書を信頼してもらうことも大事。彼らは教員とも距離があって、大学にあまり居場所がない。もし司書が見放したら、完全に大学からフェードアウトしてしまうかもしれない。

勉強熱心な学生も、そうでない学生も、困ったとき誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になる。わからない事をわからないと素直に言える場所が図書館だし、だから司書の仕事も必要なんだと思う。

 

図書館「業務委託ビジネス」のしくみ

大学図書館の司書は、実は大学の職員ではない。多くが、ある会社の外部委託で働く時給制の契約社員。日本図書館協会の統計によると、大学図書館で働く司書の6割が非正規雇用だ(※)。

私の実感として、京都と大阪の場合は9割近い司書が非正規雇用だと思う。司書を正職員で雇う大学図書館はもう数える程しかない。大半の大学はどこかの会社に業務委託している。

業務委託は人材派遣と違って、図書館の運営自体を丸ごと委託先の会社が請け負う。このビジネスには大手書店2社と、人材派遣会社が参入している。大学は毎年1月頃、複数の会社に業務委託費の見積もりを出させて、一番安い会社を選ぶ。

大学の規模にもよるが、業務委託費は数千万円。およそ半分が会社の利益で、司書の人件費などは残り半分から支払われる。

業務委託の司書は働きぶりが熱心で、大学職員たちに評判が良い。大学は会社を信用して別の仕事も依頼するようになる。大手書店の場合、大学に本を販売できるし、新しい図書館を作る時はプロデュースも任される。人材派遣会社は、他社より有利に教務課などの部署へ派遣社員を売り込める。

でも、会社は図書館を運営するノウハウに乏しい。現場の司書が知識と経験を活かして運営している。基本的に会社からは何のフォローもない。