外食体験の蓄積は、食卓に並ぶ料理にも変化をもたらした。

昭和半ばには、ドレッシングやマヨネーズ、ケチャップ、ウスターソースがよく使われるようになったが、平成になると、オイスターソースや豆板醤、スパイスやハーブ、トマト缶、魚醤などの調味料も加わり、アジア飯やヨーロッパの料理に近づけようと試みる人たちが増えていく。

パスタや中華の種類が豊かになったり、東南アジアの料理を取り入れるなど、外食体験に裏打ちされたレパートリーが加わっていった。和食の存在はますます小さくなっていき、醤油や味噌、コメなど、和食を構成する食材の消費量は減っていった。

ライフスタイルの多様化も、手料理より外食や中食を選ぶ人を増やした。シングルや二人家族の場合、手料理が必ずしも割安とは言えない。

家族の生活時間がバラバラで、家で食事できない人がいる場合もある。仕事で遅くなる日がひんぱんにあるため、食材を腐らせてしまう危険を避けて食事を外で調達する日常を送る人たちもいる。

女性と男性は自由になってきた?

以上のことから、働く女性の増加は、食事の外注化をもたらしたと言える。それは、男性が台所に立たなかったからという側面もある。

毎日フルタイムで働き、なおかつ料理する生活は大変だ。しかし、交代で作るパートナーがいれば、外食や中食にそれほど頼らず乗り切れるかもしれない。

男性が台所に立つのは恥ずかしいとされる時代に育ち、平成に社会人になった世代の男性たちには、料理ができない人たちが多い。刷り込まれた性別役割分担意識から自由になれず、妻から「手伝ってよ」と言われても動かなかった人たちもいる。

料理に興味があっても、仕事が忙しすぎるため、台所に立つどころではない人たちもいる。男性にせよ、女性にせよ、残業が続く生活で、毎日料理せよと求めるのは酷である。