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登板回避問題から高校野球の正常化に…パワハラ監督に悩む母の願い

暴力部活はまだなくならない

「第29回WBSC U18 ベースボールワールドカップ」(8月30日~9月8日)が開幕する。星稜を準優勝に導いた奥川泰伸投手(3年)など注目の選手が多く出場し、ドラフト前にさらに注目が集まることは必至だ。

そしてそのメンバーの中には夏の高校野球岩手県大会決勝で登板を回避した大船渡の佐々木朗希投手(3年)もいる。佐々木選手の登板回避を決断した国保陽平監督に対しての議論はまだおさまっていないが、間違いないのは国保監督が「佐々木投手の将来」を親身に考えていたということだろう。そんな指導者のことをうらやましいというある母親たちがいる。ジャーナリストの島沢優子さんが彼女たちに話を聞き、部活でのパワハラの実態に迫った。

 

佐々木選手がうらやましい

この佐々木の姿を、首都圏に住む40代の女性は「国保(陽平)監督のような、いい指導者に恵まれてうらやましい」と話す。
実は、高校2年生になる息子も公立の野球部員だが、監督やコーチのパワハラに悩んでいるという。

些細なことで彼らの逆鱗に触れたその生徒は、教員でもある監督の授業で、出欠をとる際に名前を飛ばして呼んでもらえないことが複数回起きたレギュラーから外されるのは無論のこと、練習中も完全に無視されるようになった。恫喝も激しくなった。

そこで女性は、息子の了解をとって夫とともに学校に指導の見直しを求めた。なぜなら、以前、ほかの部員が監督から暴力を受けたり、部内で上級生が下級生を殴る事件があったものの、学校側は教育委員会に報告をしていなかったからだ。

訴えた母親の子の例の前に、暴力を受けた部員がいた。そのことを校長が認識しておらず、教育委員会にも報告がされていなかった Photo by iStock

「私たちが外圧をかけなくては、指導体質が変わらないと思いました。しかも、公立校ですが、甲子園予選に最高でベスト8まで進んだことがあり、野球部は学校の顔と言われていました。ネガティブなことは外に出さない隠ぺい体質があったからです」

面会の席で、その年に新任したばかりの校長は「体罰?聞いていませんが」と怪訝な顔を見せた。すかさず副校長が「それは体罰の案件です」と発言したため、それ以上校長は言及しなかった。

両者は、文部科学省の学校部活動のガイドラインを参考資料として提示。「(指導は)よろしくありませんね。しっかり取り組みたい」と約束してくれた。
ところが、ともに教員である監督やコーチへの具体的な指導をしてどうだったのかと尋ねても返答はない。暴言は減ったものの、根本的には変わっていないように見受けられた。