# 相続

夫の遺産「6500万円」を親不孝息子から守った…その驚くべき裏ワザ

「特別受益」が役に立つ
江幡 吉昭 プロフィール

その後も何度か説教したものの、長男はまったく聞く耳を持たず、自堕落な生活を変えようとはしませんでした。結局、それから10年以上にわたり、アパートの家賃を佳枝さん夫婦が払い続けることになってしまいました。子育ての仕方を誤ったのではないかという負い目もあったのかもしれませんが、後から考えれば、この甘やかしが不幸の始まりでした。

 

「遺産はきっちりもらうよ」

5年前に佳枝さんの夫が心不全で亡くなったとき、10年以上連絡を取っていない長男にもその旨を電話で伝えました。しかし、長男は葬儀の話などには興味がない様子で「オヤジ亡くなったんだ、あっ、そう。遺産はきっちりもらうよ」と言っただけでした。

自分の面倒を見てくれている長女と比べて、お金ばかりかかって何もしていない長男に対し、もっと厳しく接するべきなのでしょうが、佳枝さんは「一体なにを考えているのか、困った子ね、あの子は」と嘆くだけでした。

「お恥ずかしい話ですが、私は母親でありながら大学に入ってからの長男のことは、ほとんど知りません。バイトの話も人伝に聞いた話です。東京に連れ戻した直後、アパートで寝ていた女性と結婚したそうですが、その女性とは数年で離婚、東南アジア出身の彼女と再婚したそうです。彼女との間に3人の子供を設けていたことを知ったのも、つい最近のことです。しかも、一家が暮らしていたのは1Kのアパート。家族5人が住むには狭すぎます。だから、少しでも多くの遺産をもらおうと考えたのでしょう」

佳枝さんの夫の遺産は、先述した通り、戸建ての自宅(6000万円)と現預金500万円で、合計6500万円ほどでした。法定相続通りに分割(配偶者が2分の1、残りを子供が均等に分割)すれば、長男には1625万円が入る予定です。しかし現金は500万円しかありません。

〔PHOTO〕iStock

そこで佳枝さんは長男に電話をしました。

「申し訳ないけど、父さんの財産はほとんどが家だから、現金がないの。家は母さんと良子(長女)で住んでいるでしょ。築年数も古いし、修繕にお金がかかるの。本当は建て替えたくてもうちにはそんなにお金がないの。だから渡せても100万円が精一杯なの。悪いけど、我慢してくれないかしら」

現金が500万円あるものの、その後の生活費や修繕を考えると、長男にわたせるのは100万円が限界と考えたのです。

すると長男は、

「ババァ、何言ってんだよ!俺は法定相続分の1625万円か、自宅をもらわねえとハンコは絶対押さねえぞ!」

と、すごい剣幕で怒鳴ってきました。暴力的な長男の言動と威圧に、佳枝さんはすっかり驚いてしまいました。

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