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# 相続

夫の遺産「6500万円」を親不孝息子から守った…その驚くべき裏ワザ

「特別受益」が役に立つ

6500万円を遺した夫

都内に住む小山佳枝さん(83才・仮名、以下すべて仮名)は、遺言作成の相談で、少し前から我々の事務所を訪れていました。ご存じのように、自ら積極的に遺言を書こうとする人は現代の日本ではまだまだ少数派です。そんななか、佳枝さんはなぜ、あえて遺言を作ろうとしたのでしょうか。

それは5年前に亡くなった夫の遺産相続で起きた苦い経験がきっかけでした。

佳枝さんの夫の遺産は、都内では有数の文教地区にある35坪の一戸建て。それに加え、現預金500万円ほどがありました。

「私の夫は普通のサラリーマンでしたが、勤めていたのが東証一部上場企業だったおかげで、退職金もそれなりに出て、多少は財産がありました。主な資産は築年数の古い自宅ですが、たまたま地価が安いときに買うことができたため、有名ホテルもあるような高級な地区に一戸建てを持っています。ローンの残債は退職金で払い終え、その直後に夫が亡くなりました」

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佳枝さん夫婦にはふたりの子供がいました。現在、50歳になる長男と47歳になる長女です。

実はこの長男、小さいときから勉強のできる、いわゆる「いい子」でしたが、関西の有名私大に進学して初めての一人暮らしを始めた後から、異変が起きます。学校にまったく行かなくなってしまったのです。

佳枝さんは当時を振り返り、我々に説明してくれました。

「長男には月に最低15万円は送っていました。ただ、生活費の足しとしてバイトを始めたようで、それが良くなかったんです。当時流行っていたテレクラで働き始めたところ仕事が面白くなり、いつのまにか店長になり、ついには学校に行かなくなってしまってしまいました。私たちは1年留年して初めてそれを知ったのですが…。そしてもう1年留年したのち、そのまま退学してしまったんです」

 

心配した佳枝さんは息子を東京に連れ戻し、近所にアパートを借りて一人暮らしをさせることにしました。無論、アパート代は佳枝さん夫婦が払うことになりました。将来を心配し夫婦は長男と話し合いをするためにアパートを何度も訪ねますが、長男は、

「いやー、もう親の言う通りに生きるのはかったるいんだよね。俺はお前らの操り人形じゃないんだよ。俺は俺で女とうまくやる才能があるのがわかったんだよ。テレクラであのまま店長やってりゃ、俺は幹部にだってなれたんだぜ?! もう放っておいてくれよ」

と開き直ります。時にはアパートの奥に裸の女性が寝ていることもあり、「ねー、誰かきてるの? 早く終わって戻ってきてよ」というあやしい声が聞こえる始末です。